SAMURAI - NIMS Researchers Database

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外部併任先

  • 北海道大学大学院情報科学研究院
  • 岡山大学自然科学研究科生命医用工学専攻
  • 筑波大学ライフイノベーション学位プログラム

研究内容

Keywords

医用生体工学・生体材料学 ナノ材料・ナノバイオサイエンス 機能材料・デバイス 無機工業材料 無機材料・物性

水酸アパタイトなどのリン酸カルシウムを用い、コラーゲンや生分解性高分子などと複合化をするなどして、新しい人工骨用の材料を創製しています。

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

口頭発表
    その他の文献

      所属学会

      日本セラミックス協会, バイオインテグレーション学会, 日本アパタイト研究会, American Ceramic Society, Materials Research Society

      受賞履歴

      • 2020年度日本セラミックス協会賞 フェロー表彰 (2021)
      • 第74回(2019年度)日本セラミックス協会賞 学術賞 (2020)
      • 経済産業省産業技術環境局長 国際標準化貢献賞 (2018)
      • 立研究開発法人物質・材料研究機構 理事長賞実用化功績賞 (2017)
      • Thomson (Web of Knowledge, Journal Citation Index), TOP-1% citation within its field according to “Essential Science Indicators” (2005)
      • 日韓国際セラミックスセミナー 若手奨励賞 (2004)
      • 第55回(2000年度)日本セラミックス協会賞 進歩賞 (2001)
      • 市村学術賞貢献賞 (2000)
      • インテリジェント材料フォーラム 高木賞 (2000)
      • 科学技術庁 業績表彰 (1999)

      外部資金獲得履歴

      • AMED ACT-M (2020)
      高分子・バイオ材料研究センター
      タイトル

      りん酸カルシウムを基にした機能性材料開発

      キーワード

      りん酸カルシウム,有機高分子,複合体,廃棄物,機能化,生体材料,環境浄化

      概要

      脊椎動物の骨の主成分が塩基性りん酸カルシウムである水酸アパタイト(HAp)ことから、りん酸カルシウムはこれまでも多くが生体材料として研究・応用されてきた。現在では、HAp等の生体親和性を保ちつつ、吸収性骨ペーストや組織反応の迅速化など治療効果を高める材料が求められている。我々はHAp と有機高分子であるコラーゲン(Col)との界面相互作用を適切に誘起することで、自己組織化的に骨類似のナノ構造を持つ HAp/Col 複合体を創成した。これは骨リモデリングプロセスに取り込まれる世界初の材料であり、多孔体として実用化されている。さらに、HAp/Col の優れた生体反応を利用できるよう、生体吸収性自己硬化型骨ペーストを初めとした新機能を持つ生体材料の開発を進めている。さらに、ウニ殻等の水産廃棄物や鶏骨などの廃棄物を用いた機能性材料(骨補填材や環境浄化材料)の創成を目指している。

      新規性・独創性

      骨類似のナノ構造と化学組成を持つ材料(HAp/Col)の創成とその高生体機能性の評価
      骨リモデリングプロセスに取り込まれて自分の骨と置き換わる HAp/Col 自己硬化型骨ペースト
      チタンへのオッセオインテグレーション(骨とほぼ一体化すること)を3倍迅速化する HAp/Col コーティング膜
      生体由来廃棄物の持つ気孔構造を活かした新期骨補填材料
      生体由来廃棄物などを用いたネットゼロりん資源・フッ化物イオン回収

      内容

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      これまで、HAp/Col スラリーにチタンを浸漬してコーティング層を作る(ディップコーティングする)ことで、チタンへのオッセオインテグレーションが3倍速くなることを明らかにした。しかし、実用化に向けて HAp/Col を 複雑な形状に膜厚の精度良く剥がれにくくコーティングする手法の開発が必要となった。そこで、打越らと協力し、HAp/Col を Mg をバインダーとした改良電気泳動堆積(mEPD)法でコーティングすることを試みた。その結果、左図のように膜厚を簡便に制御しつつ、はく離強度の高い HAp/Col 膜をコーティングすることに成功した。さらに細胞培養試験や動物試験によって、ディップコーティングと同等以上の生体機能性を持つことが確認できた。

      炭には廃液中のF–の除去には効果がないとされていたが、鶏骨炭中の非化学量論HAp(nHAp)におけるフッ化物イオンの除去効率は異常に高い。そこで、鶏骨をHAp の結晶成長温度以下で焼成し、焼成時間を変えることで炭素量を変化させた鶏骨炭を作製し、F–除去能力を検討した。骨炭中の nHAp は上記条件でも成長するため、炭素量と結晶子サイズの両面からF–除去に与える影響を検討したところ、nHAp が 低結晶を保ち炭素の多い領域では、右図のように炭素量とF–除去能力に強い正の相関(R2=0.984)が認められた(結晶子サイズとは R2=0.743と弱い相関)。したがって、骨炭中において炭素量が F– 除去に重要なファクターであることが示唆された。

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      まとめ

      自己組織化により合成された HAp/Col が持つ機能を活かして新しい生体機能を発揮できる材料を創成することができた。より優れた新機能生体材料の開発に繋がること を目指して北大歯学部と HAp/Col の持つ生体機能性の詳細な検討を進めている。また、廃棄物の持つ特性を理解することで機能性材料の創成に繋がることが明らかとなった。SDGs に向けて更に検討を進める。

      この機能は所内限定です。
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