- Address
- 305-0044 茨城県つくば市並木1-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
表面科学、物理化学、生物物理
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Chiho Kataoka-Hamai. Triacylglycerol-droplet-induced bilayer spontaneous curvature in giant unilamellar vesicles. Biophysical Journal. 123 [13] (2024) 1857-1868 10.1016/j.bpj.2024.05.030 Open Access
- Chiho Kataoka-Hamai, Kohsaku Kawakami. Ostwald Ripening of Triacylglycerol Droplets Embedded in Glass-Supported Phospholipid Bilayers. Langmuir. 39 [29] (2023) 10001-10010 10.1021/acs.langmuir.3c00835
- Kohsaku Kawakami, Junko Tanaka, Chiho Kataoka-Hamai. Solubilization of organic liquid into water using mesoporous phospholipid particles. Sustainable Materials and Technologies. 36 (2023) e00642 10.1016/j.susmat.2023.e00642
会議録
- MIYAHARA, Yuji, sakata toshiya, matsumoto ryo, KATAOKA, Chiho. バイオトランジスタによる生体分子認識の検出. CHEMICAL SENSORS . (2008) 118-120
口頭発表
- 片岡 知歩, 川上 亘作. ガラス支持脂質膜に埋め込んだトリアシルグリセロール液滴の オストワルド熟成. 第84回応用物理学会 秋季学術講演会. 2023
- 片岡 知歩, 川上 亘作. 炭化水素–水界面に形成したリン脂質単分子膜への炭化水素の侵入. 2022年 第83回応用物理学会秋季学術講演会. 2022
- 片岡 知歩, 川上 亘作. 油水界面上リン脂質単分子膜の界面張力–面積等温線の決定. 第72回コロイドおよび界面化学討論会. 2021
その他の文献
- KATAOKA, Chiho. Cover image. BIOPHYSICAL JOURNAL. 123 [13] (2024) 1857-1868
- KATAOKA, Chiho. Cover image. LANGMUIR(表紙). 32 [5] (2016) 9999
- 片岡 知歩. 【若手注目研究】支持脂質膜の分子密度変化. Colloid & Interface Communication. 40 [3] (2015) 25-26
所属学会
応用物理学会, 日本化学会
高分子・バイオ材料研究センター
リン脂質膜の物理化学的性質
ベシクル,表面,界面,蛍光顕微鏡,界面張力
概要
リン脂質膜は生体膜の基本構造である。リン脂質膜は柔らかく、様々な形を形成し、また、脂質組成に応じて相分離を引き起こす。これらの性質が生体内で重要な役割を果たしている。従って、生体膜の機能を解明するためには、リン脂質膜の変形や相分離について、その基本的性質を理解しなければならない。そこで、最小構成要素からなるモデルリン脂質膜を用いて、物理化学的性質を研究している。ベシクルが固液界面および油水界面に接触すると、膜が変形し形態変化を引き起こす。これまでに、界面で起こる様々な形態変化を明らかにした。また、油水界面での単分子膜の計測手法を開発した。これらの知見をもとに、脂質膜に関する新しい現象を発見する。
新規性・独創性
● リン脂質二重膜に関する新規現象の探索
● リン脂質膜の形態変化の解明
● モデル脂質膜を用いた生体膜の理解
● 油水界面リン脂質単分子膜の性質の解明
● 界面測定法の開発
内容
蛍光顕微鏡を用いて、ベシクルと界面との相互作用を調べた。液体秩序相と液体無秩序相が共存するベシクルをガラス表面に吸着させると、球状構造が開いて平らな脂質二重膜が形成された。吸着の途中で、二相のドメインが再配置を引き起こし、最終的に得られる平面膜は特徴的なドメイン配置を有していた。また、一様な膜からなるベシクルが油水界面や疎水性ガラス表面に吸着すると、約3~100 msの間に膜が開き単分子膜を形成した。さらに界面張力計を用いて、油水界面の定量的測定を試みた。単分子膜の分子密度が増加すると、膜から油が徐々に取り除かれ、界面張力が減少した。気液界面の実験と組み合わせ、脂質一分子面積と界面張力とを関係づけることができた。
まとめ
液体秩序相と液体無秩序相が共存するベシクルと固液界面との相互作用を明らかにした。また、疎水性表面や油水界面とベシクルとの相互作用を明らかにした。さらに、油水界面を覆うリン脂質単分子膜について、脂質一分子占有面積と界面張力との相関を決定する手法を開発した。これらの結果をもとに、生体膜の基本的性質に関する研究を進める。