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- 305-0044 茨城県つくば市並木1-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
光触媒、可視光、有害物質除去
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
所属学会
日本化学会
エネルギー・環境材料研究センター
触媒反応を利用したメタンからの有用化合物の合成
メタン,水素,エタン,エチレン,メタノール,含酸素有機物,カップリング反応,部分酸化反応,光,熱
概要
天然ガスの主成分であるメタン(CH4)は地球上に豊富に存在している。そこで、本研究ではこのメタンを原料として利用し、カップリング反応、部分酸化反応などの触媒反応、反応環境の制御などを駆使して、水素、エタン、メタノールなどの有用な化学物質を合成しようと試みてきている。例えば、適量のメタンと空気と新規触媒により外部熱源を利用せず、模擬太陽光の照射のみで高い選択率でエタンの製造に成功している。さらには、メタンと酸素と水と異なる新規触媒によりメタノールを含む含酸素有機化合物が高い選択率で生成することも見出している。
新規性・独創性
天然ガスの主成分であるメタン(CH4)は地球上に豊富に存在しているが、対称性が強く、CH間の結合解離エネルギーが439kJ/molと非常に高いため、その水素原子の解離には高温が必要となり、メタンから新たな有機物を合成するには通常約500~800度以上程度の高温が必要であった。しかし、外部熱源を用いないにもかかわらず、我々は反応環境及び反応条件をうまく制御し、適切な触媒に模擬太陽光を照射することで、低温でメタンからエタンなどの有用物質を製造することに成功した。
内容
本研究は、安全、安価で取り扱いの容易な太陽光波長帯の光を使って、例えばメタンガスからエタンを高い生成効率を得る製造方法、触媒について検討を行った。様々な検討の結果、触媒にAu担持層状水酸化物由来酸化チタン酸化亜鉛ナノコンポジットを選び、この触媒にメタンと空気を適量入れ、模擬太陽光を照射すると、エタンの生成選択率が約90%となり、高い選択性をもってメタンからエタンを作製することに成功した。これは太陽光照射により触媒から酸化活性種が生成し、メタン分子内の水素原子を引き抜き、メチルラジカルが生成したことによる。このメチルラジカルは触媒上でさらにカップリング反応を起こし、エタンが選択的に生成したものと考えられる。また、メタンと酸素と水とAu担持酸化亜鉛触媒を利用することで、模擬太陽光照射によりメタノールを含む含酸素有機化合物の効果的な合成にも成功している。
まとめ
本研究では地球に豊富に存在するメタンと酸素などを反応させ、適切な触媒を利用することで、低温でエタンやメタノールなどの有用物質の合成に成功してきた。今後はこれらの反応の効率の向上や水素などの他の有用物質の製造に注力していきたいと考えている。