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研究内容

Keywords

高分子ナノ薄膜、カーボン膜、ナノファイバー、多孔性材料

今後の環境・エネルギー分野で利用される高性能水処理膜、有機溶媒耐性フィルター、吸着材料などを研究しています。

所属学会

高分子学会, 日本化学会, 日本膜学会

受賞履歴

  • 高分子学会Wiley賞(2010) ()
高分子・バイオ材料研究センター
タイトル

低コスト CO2回収システムの開発

キーワード

CO2吸着材,エラストマー,深冷分離,天然ガス開発,バイオガス製造

概要

経済的に利用可能な低コストCO2回収技術は、脱炭素社会の実現のために必須となる。輸送や圧入を考えると液状CO2として回収する必要があり、コストは3,000円/t-CO2以下が望ましい。天然ガスやバイオガスの生産では、高濃度CO2を含むCH4/CO2混合ガスからCO2を分離する必要があり、一層の高効率化が求められている。我々は、低温でCO2を吸脱着する高分子エラストマーを用いて、従来にない高効率CO2回収システムを開発している。

新規性・独創性

低温高圧下での800mg/g程度の大きなCO2吸着量
10kJ/mol以下の弱い吸着エネルギー
低温高圧下でCO2を吸脱着
簡易深冷法と組み合わせた液状CO2の回収
CH4ロスがないグリーンなCO2分離回収技術

内容

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高濃度のCO2を含有する天然ガス田では、ガス中のCO2濃度が30-70%に達する。CO2は高圧下で冷却すると容易に液化するが、-40℃での蒸気圧が1MPaもある。即ち、10MPa(100気圧)に加圧しても、濃度は10%以下にならない。我々は、簡易深冷装置の後段にCO2吸着塔を組み合わせることで、混合ガス中のほぼ全てのCO2を回収することに成功した。この吸着塔は、低温高圧で運転されるが、パウダー状のPDMSソフトエラストマーは、このような環境下での吸脱着に適しており、優れた耐久性も有する。吸着したCO2は、CH4と一緒にコンプレッサーで簡易深冷装置に戻される。この循環システムでは、CH4のロスがなく、吸着材の再生エネルギーが少なく、システム全体でのGHG発生量が小さい。即ち、グリーンなCO2分離回収技術となる。また、CO2が液体として回収されるため、輸送や地下への圧入が容易となる。

まとめ

パウダー状のソフトPDMSエラストマーは、低温高圧でのCO2吸脱着速度が大きく、吸着量も多い。この特性をCO2液化技術と組み合わせることで、優れたCO2回収システムが構築できた。今後は、回収システムを大規模化し、バイオガスや天然ガスの生産に活用したい。

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