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学生受け入れ中
研究内容
- Keywords
腐食防食,表面改質,生体用金属材料,マグネシウム,生体内模擬環境
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- HIROMOTO, Sachiko, 浅見勝彦, TSAI, Anpang, SUMITA, Masae, HANAWA, Takao. Appearance of a Negative Loop on the Polarization Curves of Pd78Si16Cu6-xCrx Amorphous Alloys in Phosphate Buffered Saline Solut. Corrosion Science. (2000)
- HIROMOTO, Sachiko. Polarization Behavior of Bulk Zr-Base Amorphous Alloy Immersed in Cell Culture Medium. MATERIALS TRANSACTIONS. (2002) 3112-3117 10.2320/matertrans.43.3112
- Kotaro Doi, Sachiko Hiromoto. Rapid Formation of Calcium Hydroxy Zincate on Zinc by Hyperbaric-Oxygen. MATERIALS TRANSACTIONS. 64 [6] (2023) MT-C2023001 10.2320/matertrans.mt-c2023001
書籍
- 廣本 祥子. リン酸カルシウム被覆によるマグネシウム合金の腐食速度制御. シーエムシー出版, 2019
- HIROMOTO, Sachiko. Corrosion of metallic biomaterials. Metals for Biomedical Devices 2nd Edition. Elsevier, 2019, 22.
会議録
- 土井 康太郎, 廣本 祥子, 秋山英二. 電気化学的不働態皮膜破壊と加圧酸素ガス供給によるモルタル埋設鉄の加速腐食. コンクリート構造物の補修, 補強, アップグレード論文報告集. (2018) 1016-1-1016-6
- 土谷 浩一, 姜 保真, 土井 康太郎, 廣本 祥子, チャン ジェン. 異形鉄筋ミル・スケールの微細組織と腐食への影響. コンクリート構造物の補修,補強,アップグレード論文報告集. (2019) 187-192
- 土井 康太郎, 浅野 弘靖, 星 芳直, 廣本 祥子. 環境中の酸素濃度がType304ステンレス鋼の耐食性に及ぼす影響の電気化学インピーダンス解析. Zairyo to Kankyo/ Corrosion Engineering. (2022) 308-311 10.3323/jcorr.71.308
口頭発表
- TRAKULDIT, Supicha, HIROMOTO, Sachiko. Improvement of corrosion resistance by electrodeposition of Mg-Al LDH loaded with corrosion inhibitors for AA6061 alloy. 第151回講演大会. 2025
- 土井 康太郎, 上田 佳奈, 廣本 祥子. 陽極酸化を用いた着色亜鉛表面の創成. 日本鉄鋼協会2025年春季(第189回)講演大会. 2025
- 福田 涼介, 土井 康太郎, 廣本 祥子, 山本 知之. 6000系および7000系Al合金の不働態皮膜の保護性能と再不働態化挙動. 第71回材料と環境討論会. 2024
その他の文献
- HIROMOTO, Sachiko. Hydroxyapatite and octacalcium phosphate coating of bioabsorbable Mg-Ca alloys by a novel chemical solution deposition method. EUROPEAN CELLS & MATERIALS. (2013) 34
- 土井 康太郎, 廣本 祥子, 秋山英二. 加圧酸素ガス供給によるモルタル埋設鉄筋の腐食加速. 第65回材料と環境討論会講演集. (2018) A-101-1-A-101-2
- 廣本 祥子. 生体吸収性Mg合金のリン酸カルシウム被覆. 生体吸収性材料. (2017) 14-20
公開特許出願
- 非鉄金属材料内部への侵入水素の電気化学的測定方法及び装置 (2024)
- チタン系アモルファス合金 (2001)
- 細胞存在下における電気化学測定用セルと細胞存在下における電気化学測定方法 (2001)
所属学会
日本金属学会, 腐食防食学会, 日本バイオマテリアル学会
受賞履歴
- 日本金属学会奨励賞(2002),腐食防食協会優秀講演賞(2005),腐食防食協会進歩賞(2009),日本溶射協会論文賞(2009),第26回日韓国際セラミックスセミナー若手奨励賞(2010), 日本金属学会功績賞(2016) ()
構造材料研究センター
腐食メカニズムに基づく耐食/耐水素脆性被膜の開発
マグネシウム合金,アルミニウム合金,アパタイト,層状複水酸化物,耐食被膜,自己修復被膜,水素脆性
概要
MgおよびAl合金は軽量構造材料として、またMg合金は生体内で溶解する高比強度の金属材料として注目されている。一方、これらの合金の使用には耐食被膜が不可欠である。我々は、使用環境や腐食・水素脆化挙動の理解に基づいた耐食被膜の開発を行っている。軽量化材料としてのMgおよびAl合金には、腐食インヒビターを担持した層状複水酸化物(LDH)被膜を開発している。インヒビター担持により、被膜には自己修復性が期待される。生体用Mg合金には、骨伝導性と破骨細胞による吸収性を示す炭酸アパタイト被膜および生体内での安定性に優れた水酸アパタイト被膜の開発を行っている。
新規性・独創性
LDH被覆には電着法を用い、インヒビターを担持したLDHを短時間で合金に被覆することを目指している。本方法には、LDHを合金に被覆後にインヒビターを担持するよりも、インヒビターの選択肢および被覆対象合金の範囲を広げることができるという特徴がある。Mg合金に水溶液浸漬により炭酸/水酸アパタイトを被覆する独自の方法を開発している。骨置換する被膜は本研究のCAp被膜のみであり、基材Mg合金と被膜の両方ともが生体に吸収されて消失する画期的な生体吸収材料を実現することができる。
内容

MgやAl合金のLDH被覆およびインヒビター担持法として、高圧/蒸気処理や化成処理でLDHを被覆した後に、水溶液中でLDH被膜へのインヒビター担持が検討されている。我々は腐食インヒビターを担持したLDHを調製し、それを電着法により合金表面に被覆することを目指している。被覆処理が短時間で、多くの種類のインヒビターを担持することができ、処理中の基材合金の腐食を防ぐことができるという特徴がある。これまでに、市販のLDHを用いて電着条件の検討を行い、MgおよびAl合金表面に均一な電着被膜を作製し、合金の耐食性を改善できることを明らかにした。
現在、MgやAl合金に適した腐食インヒビターが探索されている。我々はインヒビター効果が高く、LDHに担持できるインヒビターの探索およびLDHへの担持法の検討を行っている。あるインヒビターを担持したLDHの電着被膜が、市販LDHの電着被膜よりも高い耐食性を示すことを明らかにした。

Mg合金は患部の治癒に伴い溶解・吸収される生体内溶解性金属材料として期待され、骨折固定用プレート&ネジや血管拡張用ステントへの応用が検討されている。一方、Mg合金は生体埋入初期に急激な腐食を示す場合があり、強度低下やガスだまり形成により周囲組織との接合の阻害が課題となっている。初期の腐食抑制と周囲の骨との接合の促進のため、骨の主成分と類似の組成である水酸/炭酸アパタイト(HAp/CAp)被膜の開発を行っている。これまでに、HAp/CAp被覆Mg合金の動物の骨への埋入試験を行い、被覆によりMg合金の腐食が抑制されること、骨との接合が促進されることを明らかにした。CAp被膜では、骨内で被膜が徐々に吸収されていく様子が観察された。現在は、被覆条件(炭酸含有量、被覆時間など)が被膜の耐食性に及ぼす影響の検討を行っている。
まとめ
● 電着法により、MgおよびAl合金にLDHを被覆した。
● Mg合金の腐食インヒビター候補を見出し、LDHへ担持、Mg合金に被覆した。インヒビター担持により被膜の耐食性が向上した。
● 生体用Mg合金のための生体吸収性被膜としてCAp被膜を開発した。
● 動物埋入試験より、CAp被膜は骨内に吸収されていく可能性を見出した。