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研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Ryuichi ARAFUNE, Chun Liang LIN, Noriaki TAKAGI. Ag上のシリセンの構造と電子状態. Journal of the Vacuum Society of Japan. 57 [11] (2014) 428-433 10.3131/jvsj2.57.428
- 高木紀明, 林俊良, 川合眞紀, 荒船竜一. Ag(111)基板に創成したシリセンの構造と電子状態. 応用物理. [8] (2017) 658-661
- 荒船 竜一. 高分解能二光子光電子分光を用いた表面研究. レーザー研究. 50 [1] (2022) 32-35
書籍
- 荒船 竜一. レーザー光電子分光法. 図説 表面分析 ハンドブック. 朝倉書店, 2021, 3.
- 髙木紀明, C. -L. Lin, ARAFUNE, Ryuichi. Silicene on Ag(111). Encyclopedia of Interfacial Chemistry (Volume 3.1: Ultrathin Films). Elsevier, 2018, 6.
- 松田巌, Craig P. Schwartz, Walter S. Drisdell, ARAFUNE, Ryuichi. Future Prospects. Nonlinear X-Ray Spectroscopy for Materials Science. Springer, 2023, 12.
口頭発表
- ARAFUNE, Ryuichi. High Energy resolved two-photon photoemission spectroscopy: How to contribute the current trend of solid state physics, such as SOI and moiré structure. AS_IAMS_Seminar. 2023 招待講演
- 荒船 竜一. 高分解能二光子光電子分光を用いた表面研究. レーザー学会学術講演会 第41回年次大会. 2021 招待講演
- ARAFUNE, Ryuichi. Spectroscopic Investigation of Opto-spincurrent Control . Ultrafast surface dynamics. 2019 招待講演
その他の文献
- Emi Minamitani, Noriaki Takagi, Ryuichi Arafune, Thomas Frederiksen, Tadahiro Komeda, Hiromu Ueba, Satoshi Watanabe. Inelastic electron tunneling spectroscopy by STM of phonons at solid surfaces and interfaces. Progress in Surface Science. 93 [4] (2018) 131-145 10.1016/j.progsurf.2018.09.002
- 荒船 竜一, 南谷英美, 高木紀明. レーザー励起光電子放出における電子-格子相互作用. 光アライアンス. 25 [11] (2014) 35-39
- R. Arafune, C.-L. Lin, R. Nagao, M. Kawai, N. Takagi. Comment on “Evidence for Dirac Fermions in a Honeycomb Lattice Based on Silicon”. Physical Review Letters. 110 [22] (2013) 229701 10.1103/physrevlett.110.229701
所属学会
日本物理学会, 日本表面真空学会, 応用物理学会
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
表面ダイナミクスの分光観測と制御
固体表面,非線形・非対称,ダイナミクス,レーザー分光,フォノン,スピン軌道相互作用
概要
「固体表面」は量子から古典にわたって多種多様な物理・化学現象が起きる「場」である。さらに固体表面は人工的に系を設計・創出・制御できる自由度を有しており、異なる対称性、トポロジーがであう場でもあり、物性物理を深く追究する舞台として適している。グラフェンに代表される「2次元物質」や最近では「トポロジカル」表面など、近年の物性物理の大きなトピックスが固体表面と強く関連していることは、固体表面が持つ機能の研究が重要性を意味している。我々は光と電子をプローブとした分光学的手法で表面現象および表面物性の研究、とりわけ、光励起された表面の光電変換現象やスピン制御など、光と物質の相互作用を明らかにすべく研究を行っている。
新規性・独創性
● 電子ダイナミクスを100 fs 程度の時間分解能,µオーダーの空間分解能、 0.01 Å-1オーダの波数分解能で分光解析可能。
● 赤外・ラマン分光法では困難な表面吸着種と基板の束縛振動モードを測定可能。あわせてpsオーダの時間分解能で追跡可能
● 第一原理計算との比較および、第一原理計算では予測が難しいエネルギー領域の電子物性にアクセス可能
内容
本研究で構築した測定技術を用いて測定したデータ。
a) 非線形・角度分解光電子分光を用いた表面光励起スピン流の観測制御の例。電子スピンの輸送は、スピントロニクスにおける最も重要かつ興味深いアイデアの一つである。スピン流はスピントロニクスにおいて最も重要な役割を担っている。スピン流を操作する方法は数多く提案されているが、光励起は、高速スピン・コントロールに基づく論理演算デバイスの実現につながる魅力的な手法である。本研究では、非線形・角度分解光電子分光法を用いて、スピン軌道相互作用により表面で発生する光励起スピン流を調べた。光の偏光の制御を通して、純スピン流とスピン偏極光電流の切り替えが可能であることを示した。直線偏光で励起されたスピン偏極状態間の光学的直接遷移により純スピン流が生じ、円偏光励起によりスピン偏極電流が生じる。併せてレーザー光電子分光による低振動数フォノンの観測技術や短パルス性を利用した光励起電子の緩和過程の観測技術の開発も行っている。
また、シリセン(シリコン版グラフェン)や遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)といった2次元物質の開発、またその機能発現に関する研究も積極的に行っている(右図)。新たな物質群の創出は、新機能発現を観測する測定技術の開発にフィードバックされる。
まとめ
● レーザー技術、超高真空技術の融合による超精密分析手法
● スループットの高い解析技術の開発(AI技術との連携)が課題
● 表面の非対称性を利用したプラズモンやフォノンの非相反性(ダイオード特性)を実現させたい。