HOME > Profile > YAMAMOTO, Shota
- Address
- 305-0044 1-1 Namiki Tsukuba Ibaraki JAPAN [Access]
Research
PublicationsNIMS affiliated publications since 2004.
Research papers
- Shota YAMAMOTO, Jun NAKANISHI. Epidermal Growth Factor-gold Nanoparticle Conjugates-induced Cellular Responses: Effect of Interfacial Parameters between Cell and Nanoparticle. Analytical Sciences. 37 [5] (2021) 741-745 10.2116/analsci.20scp16 Open Access
- Kazuhiro Tatematsu, Shota Yamamoto, Masao Kamimura, Kazuo Yamaguchi, Jun Nakanishi. Dynamic cell photo-manipulation technology for the molecular and mechanical regulation analyses of collective cell migration. Talanta Open. 9 (2024) 100319 10.1016/j.talo.2024.100319 Open Access
- Shota YAMAMOTO, Tatsuya MIYAMA, Takafumi KOMODA, Michiko SUGAWARA, Makiko NONOMURA, Jun NAKANISHI. A Facile Assay of Epithelial-mesenchymal Transition Based on Cooperativity Quantification of Cellular Autonomous Motions. Analytical Sciences. 36 [2] (2020) 263-268 10.2116/analsci.19p233 Open Access
Books
- NAKANISHI, Jun, YAMAMOTO, Shota. Geometrical and Mechanical Nanoarchitectonics at Interfaces Bridging Molecules with Cell Phenotypes. System-Materials Nanoarchitectonics. Springer, 2022, 12.
Presentations
- 上木 岳士, 宇都 甲一郎, 山本 翔太, 中西 淳. イオン液体の界面を用いた細胞培養. 第13回イオン液体討論会. 2023
- 山本 翔太, 中西 淳. 抗がん剤を指向した上皮成長因子担持ナノ粒子複合体の開発. 第72回高分子討論会. 2023
- 山本 翔太, 中西 淳. シグナル伝達の選択性を制御する上皮成長因子修飾ナノ構造体の開発. 日本分析化学会第72年会. 2023
Society memberships
日本分析化学会, 日本バイオマテリアル学会, 高分子学会
Research Center for Macromolecules and Biomaterials
抗がん効果を持つシグナル凝縮粒子
抗がん剤,ナノ粒子,タンパク質,メカノバイオロジー,バイオ分析
Overview
がんは、世界的に罹患者数、死亡者数が増加傾向にある。そのため、低副作用と効率性をともに満たす新たな癌治療薬や方法論の開発が求められている。ここでは、生体分子とナノ粒子のコンジュゲーションで創発される新たな機能・活性を利用した新規抗がん剤の開発を目指す。注目したのは、細胞膜の受容体と結合することで増殖や分化を促すタンパク質の上皮成長因子(EGF)である。このEGFはナノ粒子に固定化した状態でがん細胞に投与すると、その効果を突如死に切り替える特徴を有する。この奇妙な現象のメカニズムを明らかにすることで、がん細胞選択的に効能を発揮するナノ粒子抗がん剤を開発し、その有効性を実証する。
Novelty and originality
● 生体分子と材料を複合化することで本来の活性を変換する抗がん治療戦略
● 従来の受容体の活性をブロックするのではなく、活性化させて治療する新しいタイプの抗がん剤
● 受容体が過剰発現するがん細胞にのみ効能を発揮
Details
新たな抗がん剤の候補として、上皮成長因子(EGF)を金ナノ粒子にコンジュゲートさせたEGF担持ナノ粒子を開発した。このEGFナノ粒子をがん細胞であるHeLa細胞(子宮頸がん)やA431細胞(表皮がん)へ投与すると、約80%のがん細胞をアポトーシス(細胞死)へと導いた(図上)。さらに対象を正常細胞に拡張して調べると、PHK16-10b細胞(ケラチノサイト)やEA.hy926細胞(血管内皮)には活性を示さなかった。
そこで通常成長を誘導するEGFの機能が逆転する奇妙な現象を調べると、ナノ粒子が、シグナル分子の集積する伝達場である脂質ラフトにEGF受容体を拘束することで活性を凝縮し、細胞運命を調節する細胞内シグナル伝達に変化を与えることでアポトーシスを誘導していた(図下)。これは、従来の活性化を”抑制”して治療するEGF受容体阻害剤とは異なり、積極的に”促進”させることで抗がん効果を示す新しい抗がん剤となる。
今後、より詳細な解析や個体レベルでの検証を行うことで、伝達場に生体分子の作用を凝縮することで本来の活性を変換する「シグナル凝縮粒子」を、新しいナノ粒子抗がん剤として医療分野に役立てたい。
Summary
● ナノ粒子とEGFを複合化することで、がん細胞を選択的にアポトーシスさせるシグナル凝縮粒子の開発に成功。
● ナノ粒子がEGFの作用を脂質ラフトに限局することで抗がん効果を獲得。
● 今後、より詳細な解析や個体レベルでの効能を実証することで、新しいナノ粒子抗がん剤へと展開。