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      Research Center for Materials Nanoarchitectonics (MANA)
      Title

      誘電体ナノ構造を用いた光と物質の相互作用増大

      Keywords

      BIC, メターサーフェス, シリコン, ナノ構造, ナノフォトニクス, 赤外分光, 単一分子センシング, バイオセンシング

      Overview

      光の波長よりも小さなナノメートルサイズの周期構造を設計することで特定の波長の光のみを共鳴させることができる。本研究では、その光閉じ込め効果を利用した高感度な分子センシング手法や、光と物質の相互作用を増大させる技術を開発している。光の共鳴原理の追究と光を閉じ込める材料開発という2つのアプローチにより光の振る舞いを制御することで、生体分子センシングや分光、医療診断、エネルギー変換、量子技術など様々な分野に横断する新技術への展開が期待される。

      Novelty and originality

      ● シリコンナノ構造を用いた表面増強赤外吸収を実証し、単一分子層レベルの高感度な赤外分光を実現
      ● 準BIC-分子振動間の結合条件を弱結合領域から強結合領域に容易に制御可能
      ● 自由空間からアクセス可能な10万を超える超高Q値シリコンBICメタサーフェスの開発に成功
      ● ウイルスサイズの単一ナノ微粒子の結合をとらえる高感度センサを実現

      Details

      image

      周期ナノ構造において放射損失がゼロの束縛状態であるBound state in the continuum (BIC) は、ナノ構造の単位砲の対称性をわずかに破ることで放射Q値が有限の値となる。このような条件は準BICとして知られ、高い放射Q値を維持しつつ自由空間からの垂直励起によってシャープな共鳴ピークが実験的に観測可能となる。本研究では誘電体ナノ構造における準BICを用い、以下のような研究を進めている。

      【中赤外メタサーフェスにおける振動結合】
      中赤外帯域における物質固有の分子振動は、分析化学における基本現象として、物質同定や微量分子の検出に利用される。我々はシリコンをベースとしたナノ構造アレイ (メタサーフェス) の準BICを利用することで、その増強電場と分子振動との相互作用を大幅に増大させることができることを示した。これにより単一分子層レベルの高感度な表面増強赤外吸収 (SEIRA) を実現した[1]。さらに分子振動との結合条件は構造に加える非対称量に応じて変化し、弱結合領域から強結合領域まで制御できることを実験的に示した[2]。以上の結果は波長選択的な分子センシングや化学反応制御に有用と考えられる。

      【超高Q値メタサーフェスを用いた高感度センシング】
      光が閉じ込められる高屈折率層に浅堀のナノ構造を形成した低コントラスト型のBICメタサーフェスは、高次モードの強い局在効果と製作誤差に起因する散乱損失の低下により、10万を越える高Q値を実現できる[3]。このようなモードは周囲の局所的な屈折率変化に敏感であり、我々は直径100 nmのウイルスサイズの単一ポリスチレン粒子の結合による離散的な共鳴波長シフトを観測することに成功した[4]。このような共鳴モードは精密な光学結合系を必要としない自由空間からのアクセスが可能であり、超高感度かつ簡易な分子検出や医療診断への応用が期待される。

      参考文献
      [1] K. Watanabe, T. Nagao, ACS Photonics 12(12), 6876 (2025)
      [2] K. Watanabe, H. R. Devi, M. Iwanaga, T. Nagao, Advanced Optical Materials 12(6), 2301912 (2024)
      [3] K. Watanabe, T. Nagao, and M. Iwanaga, Nano Letters 25(7), 2777 (2025)
      [4] K. Watanabe, S. Crowther, M. Iwanaga, F. Vollmer, T. Nagao, Small Methods 10(17), e70931 (2026)

      Summary

      準BICを利用したナノフォトニクス材料はその高いQ値と大きな電場増強を特長とし、これまでに観測が困難であったナノスケールの現象を理解するのに役立つ。誘電体ナノ構造は、安価で高精度な加工が可能な半導体プロセスによる量産も可能であり,実用的なセンシングデバイスの実現が望まれる。

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