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Research

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日本鉄鋼協会, 日本金属学会, 日本機械学会

Research Center for Structural Materials
Title

鉄鋼材料の相変態と変形・破壊挙動

Keywords

鉄鋼材料,マルテンサイト,ミクロ組織,水素脆性

Overview

現在、鉄鋼材料に代表される構造用金属材料の高強度化へのニーズがますます増加している状況である.高強度・高延性・高破壊特性を実現した先進鉄鋼材料を開発・実用化していくためには、変形・破壊挙動 / ミクロ組織 / プロセスの相関を系統的に研究していくことが必要となる。そこで、相変態によるミクロ組織形成メカニズムや変形・破壊挙動(特に水素脆性などの脆性破壊)とミクロ組織の相関について研究している。そして、高強度・高延性・高破壊特性を実現した鉄鋼材料を開発するための合金設計指針・ミクロ組織設計指針を理論的な背景から提案することを目指している。

Novelty and originality

高強度鉄鋼材料のミクロ組織形成メカニズム解明
3次元マルチスケール解析による破壊挙動解析
水素脆性破壊を抑制した高強度鉄鋼材料開発のための材料設計概念の提唱

Details

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「水素脆性」とは材料中に水素が侵入することによって、材料が著しく脆化する現象である。現在、開発が進んでいる引張強度1.5 GPaを超える自動車用高強度鋼板を幅広く社会実装化していく上で最も大きな問題となるのが水素脆性であり、耐水素脆性に優れた材料開発を行っていくためには、水素脆性における破壊素過程や力学特性変化を的確に理解することが重要である。そこで、高強度マルテンサイト鋼の水素脆性粒界クラックを対象として研究を行った。まず高強度鋼の基地組織であるマルテンサイト組織を集束イオンビーム加工 (FIB) – 走査型電子顕微鏡 (SEM) シリアルセクショニング観察および透過型電子顕微鏡 (TEM) により晶癖面方位や転位組織などの内部微視組織を精密に解析し、変態後の室温までの冷却中に動的な内部微視組織変化や界面方位変化が生じていることなどを明らかにした。そして、X線コンピュータートモグラフィやFIB – SEMシリアルセクショニングを用いて高強度マルテンサイト鋼の水素脆性粒界クラック伝播挙動を解析し、粒界クラックは非破壊リガメントを形成しながら不連続に伝播しており、方位差が小さい粒界セグメントにおいてクラック伝播が停止するといった破壊メカニズムを解明した。この小角粒界セグメントにてクラック伝播の局所的な停止が巨視的な力学特性に大きな影響をおよぼしていると考えられる。

Summary

鉄鋼材料におけるマルテンサイト組織の形成メカニズムや水素脆性破壊メカニズムを明らかにし、水素脆性破壊を抑制するための材料設計概念を提唱した。これらの成果は、耐水素脆性特性に優れた材料開発に繋がると期待される。

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