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- 305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
発電プラント 耐熱鋼 クリープ 高温強度 弾性特性 材質劣化 組織解析 寿命予測 余寿命評価 クリープ構成式 電子顕微鏡
1. 高効率火力発電用高Cr鋼の長時間クリープ強度評価と材質劣化評価
2. 高効率火力発電用高Cr鋼溶接部の組織解析
3. 各種耐熱鋼の長時間クリープに伴う材質劣化と組織変化
4. 超長時間クリープ曲線解析
5. 高強度ステンレス鋼の組織特徴量に基づく部材温度推定
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
公開特許出願
- クリープ破断寿命に対応する負荷応力推定装置及び方法、並びに耐熱金属材料の最適組成の予測装置及び方法 (2024)
- 高温ボルト材 (2006)
- フェライト系耐熱鋼とその製造方法 (2008)
所属学会
日本鉄鋼協会, 日本材料学会, 日本機械学会, 日本金属学会
受賞履歴
- 日本鉄鋼協会研究奨励賞(2007),日本材料学会 高温強度部門委員会躍進賞(2012), 日本鉄鋼協会西山記念賞(2016) ()
- 日本鉄鋼協会学術貢献賞(三島賞) (2022)
- 日本機械学会標準事業コードエンジニア賞 (2021)
- Acta Materialia, Outstanding reviewer (2017)
構造材料研究センター
耐熱材料のクリープ強度のばらつきと組織
耐熱鋼,長時間クリープ特性,ばらつき,材質劣化,偏析
概要
実用耐熱材料では、規格の範囲内においても長時間クリープ強度のヒート(チャージ)間のばらつきがあり、強度の下限値を見極めるには、ばらつきの原因を明らかにする必要がある。高Crフェライト系耐熱鋼は、高効率火力発電プラントにおいて広く使用されているが、クリープ強度の低いヒートの存在などにより、許容応力の見直しが行われている。本研究では、化学組成や熱処理条件だけから類推することが難しい合金元素の偏析が、高Crフェライト系耐熱鋼のクリープ強度低下の原因の一つであることを明らかにした。なお、偏析は、オーステナイト系耐熱鋼においても生じる可能性があるため、現在、複数の鋼種において偏析とクリープ強度の関係を調査している。
新規性・独創性
● 実用耐熱材料の長時間クリープ特性とばらつき
● 製造プロセスと関連の深い合金元素の偏析と長時間クリープ強度
● 合金元素の偏析の低減による高品質化
内容
高Crフェライト系耐熱鋼のうち、ASME Gr.91鋼(6ヒート)およびASME Gr.92鋼(3ヒート)のチューブ材において、クリープ強度のヒート(チャージ)間差が確認された。組織観察から、チューブ長手方向に沿った合金元素の偏析があること、また、同一規格内において、偏析の程度にヒート間の差があることが分かった。構成元素のうち、添加量の多いCrに着目し、濃度分布から偏析の程度を表す指標として、Cr濃度勾配の標準偏差を提案した。両鋼ともに、Cr濃度勾配の標準偏差が大きいほど、偏析が顕著となり、クリープ強度が低下することが分かった。いずれの鋼も、材料規格を満足しているため、合金元素の偏析が残存していることは、材料規格では規定されていない製造方法などに関連しているものと推察される。ASME Gr.91鋼において、偏析を低減する熱処理を実施したところ、クリープ破断寿命が約2倍向上した。したがって、規格の範囲内で高いクリープ強度を確保するためには、合金元素の偏析をできるだけ低減することが重要である。最近では、オーステナイト系耐熱鋼である、SUS304HTB、SUS316HTB、SUS321HTB、SUS347HTBについて、合金元素の偏析の程度を表す指標を検討するとともに、偏析とクリープ強度、クリープ破断延性、結晶粒径との関連について調査している。
まとめ
● 他の製品形状(パイプや板)における偏析の影響評価
● 溶接部における偏析の影響評価
● 偏析を制限するための材料規格の見直し
● クリープ強度特性以外の材料特性への偏析の影響評価