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Research

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日本化学会, 電気化学会

Research Center for Materials Nanoarchitectonics (MANA)
Title

ナノシートの精密集積と二次加工による機能材料の創製

Keywords

酸化物ナノシート,スピンコート,切断,触媒,エネルギー変換・貯蔵

Overview

層状金属酸化物の単層剥離により得られる酸化物ナノシートは、厚みが1 nm程度である一方、横方向には厚みの数百倍から数十万倍の広がりを持つ二次元結晶である。その二次元性に基づき、組成や構造によりさまざまな魅力的な特性を示す。ナノシートはコロイド溶液として得られ、基板上に単層または多層で配列したり、バルクスケールの再積層体を構築したりすることができる。本研究では、基板上にナノシートを精密に配列する手法の確立や、異なるナノシートの交互積層による新奇物性の発現や特性向上を目指している。その過程で、凹凸のある基板表面への吸着によりナノシートが切断されることを発見し、二次加工によるナノシートの高機能化につながると期待している。

Novelty and originality

層状酸化物をソフト化学的に剥離することで、すべて単層のナノシートが分散したコロイド溶液を作製する手法が確立されている。
100種類以上の酸化物ナノシートが合成されており、組成や構造に応じてさまざまな魅力的な特性を示す。
溶液プロセスによりナノシートをさまざまに集積、集合、形態制御することができる。
基板上に異なるナノシートを交互積層することができ、個々のナノシートにはない優れた特性が得られる。
2種類のナノシートを自己組織化的にバルクスケールで交互積層でき、電極材料として優れた特性を示す。

Details

基板上にナノシート分散液を適切な条件でスピンコートするとナノシートが単層で稠密配列するメカニズムについて、さまざまな回転速度においてナノシートが基板表面にどのように堆積するのかを顕微鏡観察により体系的に調べた。その結果、スピンコート中にナノシートが気液界面において単層で稠密に配列し、それが溶媒の蒸発に伴って基板表面に転写されることがわかった。また、堆積状態と回転速度の関係を明らかにし、基板表面全体で単層稠密配列が達成される条件を予測する方法を見出した。さらに、スピンコートを繰り返すことによりナノシートの多層膜や異種ナノシートのヘテロ膜を基板上に形成できた。異種ナノシート間の相互作用に基づく新奇特性の探索に資することができる。

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気液界面に展開したナノシートが凹凸基板に吸着する過程で自発的に切断されることを発見した。吸着過程において、ナノシートは基板の表面形状に追従しようとするが、ナノシートの面積は凹凸基板の実面積より小さいため、吸着の進行に伴い分子間力に基づく引張応力がナノシートの面内方向に生じる。分子間力はナノシートの吸着面積に比例し、切断が必要な化学結合の数はナノシートの横サイズに比例するため、二次元異方性が高いナノシートでは引張応力がナノシートの切断に必要なエネルギーを上回り、結合数が比較的少ない結晶格子基本軸に沿ってナノシートが切断される。切断や穿孔などナノシートを二次加工することはデバイス作製や特性向上において重要な技術である。

Summary

スピンコート法によりナノシートが基板表面全体を隙間なく単層で配列する製膜条件を導くためのガイドラインを明らかにした。
ナノシートと基板の間に働くファンデルワールス力を利用して、ナノシートをその結晶格子基本軸に沿って切断する手法を開発した。
今後、切断されたナノシートのマニピュレーションによるデバイス作製や特性評価について検討する。

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