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研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Riku Ishii, Ryo Motohashi, Keitaro Tada, Yusuke Suzuki, Takayoshi Kouchi, Hiroshi Oike, Fumitaka Kagawa, Reizo Kato, Tetsuaki Itou. Volatile resistive-switched state in a bulk organic conductor with a sharp metal-insulator transition. Physical Review Applied. 26 [2] (2026) 024041 10.1103/3yjz-8f9d
- Hiroshi Oike, Hidemaro Suwa, Yasunori Takahashi, Fumitaka Kagawa. Thermally quenched metastable phase in the Ising model with competing interactions. Physical Review B. 112 [6] (2025) 064409 10.1103/ydc4-cfrm Open Access
口頭発表
- 大池 広志. 熱パルス駆動非平衡過程を経由した準安定電子相の創出と制御. 第二回若手研究者分野横断交流会. 2026
- OIKE, Hiroshi, 諏訪 秀麿, 髙橋 安徳, 賀川 史敬. Metastability and Eutectic-like Behavior in the Ising Model. The 2nd International Symposium on Solid State Chemistry (ISSSC 2025). 2025
- 大池 広志. 準安定物質の形成・制御を解明する非平衡統計力学の開拓. 非平衡固体物性の最前線2025. 2025 招待講演
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
高速温度制御による準安定相開拓と不揮発スイッチ素子開発
金属-絶縁体転移, 超伝導, 半導体, 急冷, 非平衡, 準安定, 不揮発性メモリ
概要
情報技術の高度化に伴い、計算・記憶に必要なエネルギー消費の増大が課題となっている。本研究では、金属–絶縁体転移や超伝導など、電気伝導性が大きく変化する相転移に着目し、高速な加熱・急冷で生じる非平衡状態を経由して準安定相を開拓する。これらの準安定相を不揮発に生成・消去する制御原理の確立を通じて、情報技術の省エネルギー化に資する新しいスイッチング材料・デバイスの実現を目指す。
新規性・独創性
・原子の長距離拡散を伴わない相転移系における準安定相の開拓
・準安定な金属相・超伝導相の寿命を制御する物質設計
・準安定電子相の生成・消去を利用した不揮発スイッチの開発
内容

情報社会の発展に伴い、計算・情報処理に要するエネルギー消費の増大が社会的な課題となっている。計算性能を高めながら消費電力を抑えるため、AI向けのアナログ・インメモリ計算や、量子計算機の極低温制御回路など、従来とは異なる計算原理や動作環境に対応したハードウェアの開発が進んでいる。このようなハードウェアの発展に伴い、演算素子や周辺回路など、それぞれの機能や動作環境に適した材料・物性の開拓が重要になると考えられる。
本研究では、材料機能を開拓する観点から、金属–絶縁体転移や超伝導など、電気伝導性が大きく変化する相転移に着目している。特に、急加熱・急冷によって平衡化を回避し、準安定相を生成することで、不揮発な物性制御法の開拓を進めている。急冷による準安定化は、従来、合金やガラスなど、原子の長距離拡散を伴う構造変化を抑制する手法として利用されてきた。本研究では、この考え方を原子の長距離拡散を伴わない電子相転移へと拡張している。その一例として、競合する電子秩序への相転移を急冷によって回避することで準安定な超伝導相を見いだし、超伝導状態を不揮発かつ可逆に切り替えられることを実証した。これは、準安定相の開拓が不揮発な物性制御につながることを示すものである。
さらに、準安定相を物質設計に基づいて探索するため、どのような物質で準安定化が起こりやすいかを予測する研究を進めている。モデル計算から、異なる秩序を安定化する相互作用の競合によって相転移過程に活性化障壁が生じ、原子の長距離拡散を伴わない系でも準安定相が長寿命化し得ることを明らかにした。このような設計指針を基に、準安定な金属相や超伝導相を開拓し、その生成・消去を利用した不揮発スイッチへの展開を目指している。
まとめ
情報ハードウェアの発展に伴い、それぞれの機能や動作環境に適した材料・物性の開拓が重要になっている。本研究では、金属–絶縁体転移や超伝導に着目し、急加熱・急冷によって準安定な電子相を開拓するとともに、その生成・消去を利用した不揮発な物性制御を目指している。さらに、準安定相を生み出す微視的機構を明らかにすることで、準安定な金属相や超伝導相を物質設計に基づいて探索する指針が得られている。このような研究は、不揮発スイッチなどへの応用を通じて、情報技術の省エネルギー化に資する材料・デバイスの開拓につながると期待される。

