研究内容
- Keywords
Defects, Interface, Polarity, and Charge Compensation
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- H. Okabe, M. Hiraishi, A. Koda, S. Takeshita, K. M. Kojima, I. Yamauchi, T. Ohsawa, N. Ohashi, H. Sato, R. Kadono. Local electronic structure of dilute hydrogen in β−MnO2. Physical Review B. 103 [15] (2021) 155121 10.1103/physrevb.103.155121
- Naoki Ohashi, Yoshitaka Matsushita, Noriko Saito. Experimental and theoretical investigation of crystal structure of formamidinium–copper–iodide single crystals grown from aqueous solution. Journal of Solid State Chemistry. 306 (2022) 122778 10.1016/j.jssc.2021.122778
- Naoki Ohashi, David Mora-Fonz, Shigeki Otani, Takeshi Ohgaki, Masashi Miyakawa, Alexander Shluger. Inverse Perovskite Oxysilicides and Oxygermanides as Candidates for Nontoxic Infrared Semiconductor and Their Chemical Bonding Nature. Inorganic Chemistry. 59 [24] (2020) 18305-18313 10.1021/acs.inorgchem.0c02897
書籍
- 大橋 直樹, 羽田 肇. 総論─電子状態とセラミック半導体機能. セラミックス機能化ハンドブック. , 2011, 133-143.
- 大橋 直樹. 第1章 総論:バンド理論とバンドギャップ. CMC出版 バンドギャップエンジニアリング. , 2011, 1-8.
- 大橋 直樹. 第3章3・3 ドーピングと欠陥. 透明導電膜の技術 改訂3版. , 2014, 66-80.
会議録
- 大橋直樹. 液相エピタキシー法による結晶育成 -酸化亜鉛固溶体への応用-. 第44回応用物理学会スクールテキスト. (2009) 79-89
- Hirotaka Okabe, Masatoshi Hiraishi, Akihiro Koda, Yoshitaka Matsushita, Takeo Ohsawa, Naoki Ohashi, Ryosuke Kadono. Local Magnetism in the Spin-singlet State of VO<sub>2</sub>. Proceedings of the 29th International Conference on Low Temperature Physics (LT29). (2023) 10.7566/jpscp.38.011117
- Minako Hashiguchi, Isao Sakaguchi, Reona Miyazaki, Kazunori Takada, Naoki Ohashi. Cobalt doping as the controlling factor of oxygen diffusivity in ZnO by more than four orders of magnitude. DEFECT AND DIFFUSION FORUM. (2015) 85-90 10.4028/www.scientific.net/ddf.363.85
口頭発表
- 大橋 直樹, David Mora–Fonz, 大谷 茂樹, 和田 芳樹, 大垣 武, 宮川 仁, Alexander Shluger. Synthesis and characterization of oxysilicides and oxygermanides in search for semiconductors with direct-transition-type band gaps in near infrared region. Materials Research Meeting 2021 (MRM2021). 2021
- 古谷 拓海, 大沢 祐太, 瀬川 浩代, 清水 荘雄, 宮川 仁, 西村 聡之, 大橋 直樹. Synthesis of the LaTiO2N bulk ceramic and the dielectric properties. Materials Research Meeting 2021 (MRM2021). 2021
- 大橋 直樹, David Mora–Fonz, 大谷 茂樹, 和田 芳樹, 大垣 武, 宮川 仁, Alexander Shluger. Oxysiliside semiconductors, a candidate for non-toxic semiconductor for infrared optoelectronic applications. AMF-AMEC 2021. 2021 招待講演
その他の文献
- OHSAWA, Takeo, TSUNODA, Kei, DIERRE, Benjamin, GRACHEVSergey, MONTIGAUDHerve, ISHIGAKI, Takamasa, OHASHI, Naoki. Growth-parameter dependence of polarity and electronic transports in ZnO t hin films deposited by magnetron sputtering. PHYSICA STATUS SOLIDI A-APPLICATIONS AND MATERIALS SCIENCE. 215 [16] (2018)
- 大澤 健男, 上田 茂典, 鈴木基寛, 大橋 直樹. 直線偏光制御を用いた硬X 線光電子分光による極性GaN 結晶の電子状態研究. SPring-8/SACLA利用者情報. 22 [3] (2017) 227-232
- 大橋 直樹. 酸化物のさらなる展開に向けて. 応用物理学会 応用電子物性分科会誌. 22 [3] (2016) i
所属学会
応用物理学会, 日本MRS, 日本セラミックス協会, American Ceramic Society
受賞履歴
- 日本セラミックス協会学術写真賞 (2012); 日本セラミックス協会賞 優秀論文賞 (2012); 日本セラミックス協会賞[学術賞] (2011); Richard M. Fulrath Award, the American Ceramics Society (2009); 日本セラミックス協会賞[進歩賞] (1999); 日本セラミックス協会賞 優秀論文賞 (1998) ()
電子・光機能材料研究センター
組成-構造-物性相関の解明と材料化プロセスの開発
電子構造,結晶構造,電子物性,光学物性,電気特性,欠陥構造,界面構造
概要
物質の機能は、化学結合状態、すなわち、化学組成とその原子配列によって決定される電子構造によって支配されている。そのため、結晶の持つ導電性や発光特性、あるいは表面・界面における機能について、化学組成、原子配列、化学結合の観点から考察し、組成-構造-物性の間の相関関係の解明を目指し、さらに、その結果を元にした新たな物質や表面・界面構造の開発につなげる。特に、環境負荷の小さなありふれた元素から構成され、また、省エネルギーや安全・安心という社会課題の解決に寄与し得る物質・材料やそれらを合成するための製造プロセスの提案を目指す。
新規性・独創性
金属以外の結晶の多くは、陰イオンと陽イオンとの静電引力がその構造形成に寄与しており、構成元素の電気陰性度やイオン化ポテンシャルという元素に特有な性質が構造形成に対して大きく寄与する。一方、電子・光物性を支配する電子のバンド構造は化学組成と結晶構造(原子配列)の両方が寄与し、また、圧電性のような結晶格子の寄与する物性には結晶構造(原子配列)の異方性がそれに寄与する。そうした中、目的とする物性屋特性を得るため、元素の持つ電荷(価数)の制御や、無機結晶に分子を導入するハイブリッド化などの手段を駆使し、新しい機能を発現する物質を開拓し、その機能を有用なものとすることを目指している。
内容
右の図は、Ca3SiOという物質の結晶構造を示す。この物質は、一般のペロブスカイト構造の陰イオン位置を陽イオンであるCaが占め、その陽イオン位置を陰イオンであるSiとOが占めるため、逆ペロブスカイト型構造と呼ばれる。Siの形式電荷が-4価と見なせることが特徴であり、価電子帯がSiの4p軌道、伝導帯がCaの4s軌道から成る。そこに酸素が含まれ、ペロブスカイト型結晶をとることから、1eVにも満たない狭いバンドギャップを持つ直接遷移型半導体となっている。II-VIやIII-Vの半導体では、砒素やカドミウムなどの毒性元素が必要となる特性も、結晶構造と化学組成の妙によって、典型元素で実現できるという実例である。
一方、左の図に示したのは、いわゆる有機ー無機ハイブリッド結晶、と呼ばれる無機イオンから成る要素と、分子イオンから成る要素が共存して構成される結晶構造の一例である、ホルムアミジニウムイオン([HC(NH2)2]+)を含んだ銅ヨウ化物結晶である。元素イオンは球体に見立てられるものとなっているのに対して、分子イオンはそれ自身が異方性を持つことから、同じ分子であってもその整列状況を制御することによって結晶の持つ対称性、ひいてはその物性を変化させられる可能性がある。分子イオンの分子量や構造もパラメータとして加えた物質探索、物質設計を進めることで、環境負荷が少なく、かつ有用な機能を備えた物質の開発を進める。
まとめ
第一原理計算を用いた仮想物質の結晶構造や電子構造のシミュレーション、薄膜やバルクなどの様々な形態の物質合成を通じ、ありふれた元素から成る環境性能に優れ、高い機能を持った物質・材料の探索により、豊かな社会の実現を目指します。