研究内容
- Keywords
二次元半導体、遷移金属ダイカルコゲナイド
私たちの研究グループでは、ナノメートルスケールの特徴的な構造を持ち、従来の三次元物質とは異なる特性を示すナノ物質系の研究に取り組んでいます。特に、厚さが原子1〜数個分という極限的に薄い二次元物質に着目し、次世代の半導体デバイスを見据えた基礎研究および応用展開を推進しています。
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
タイトル
Janus WSSe/WSe2ヘテロ構造を用いたナノスクロールの直径制御
キーワード
遷移金属ダイカルコゲナイド, 二次元材料, スクロール
概要
遷移金属ダイカルコゲナイド(TMD)のナノスクロールは、曲率や構造に依存した物性を探索するナノ構造として注目されている。本研究では、表裏でカルコゲン元素が異なるJanus WSSeとWSe2からなるヘテロ構造を用い、直径を制御したナノスクロールの作製と光学特性の評価を行った。
新規性・独創性
本研究の新規性・独創性は、Janus WSSeの構造非対称性によるスクロール形成と、WSe2の層数による曲げ剛性の調整を組み合わせ、ナノスクロールの直径制御を実現した点にある。従来のJanus単層を用いたスクロール形成を多層ヘテロ構造へ拡張し、直径を約10 nmから約1 μmの広範囲で制御した。さらに、ラマン応答の異方性やひずみによる第二高調波発生(SHG)の変調を明らかにし、TMDの立体構造を利用した光学特性制御の新たな指針を示した。
内容
本研究では、Janus WSSe/WSe2ヘテロ構造を用いて、直径の異なるTMDナノスクロールを作製し、その構造と光学特性を調べた。まず、プラズマを用いた表面原子置換により、WSe2の最表面のSe原子をS原子に置き換え、Janus WSSeを形成した。続いて、溶液処理によってシートをスクロール化し、元のシートの層数を変えることで、直径を約10 nmから約1 μmの範囲で制御した。原子間力顕微鏡および走査透過電子顕微鏡を用いて形状と微細構造を評価し、結晶性と組成の均一性を確認した。また、偏光分解ラマン分光と第二高調波発生(SHG)測定により、光学応答の異方性とひずみによる非線形光学応答の変調を明らかにした。
まとめ
本研究では、Janus WSSe/WSe2ヘテロ構造の層数を調整することで、ナノスクロールの直径を約10 nmから約1 μmの範囲で制御した。また、光学応答の異方性とひずみによる第二高調波発生の変調を明らかにした。これらの成果は、TMDの立体構造と光学特性の関係を理解する基盤となり、形状制御を活用した光・光電子デバイスへの応用が期待される。
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