HOME > Profile > KOZAWA, Daichi
- TEL
- +81 29-860-4404
- Address
- 305-0044 1-1 Namiki Tsukuba Ibaraki JAPAN [Access]
External affiliations
- 理化学研究所 光量子工学研究センター 客員研究員
Research
- Keywords
低次元ナノ構造、二次元結晶、カーボンナノチューブ、ヘテロ構造、光物性
出版物は左のGoogle Scholarのリンクをご覧ください。
PublicationsNIMS affiliated publications since 2004.
Society memberships
日本物理学会, 応用物理学会, フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会
Awards
- 理研梅峰賞 (2023)
- 日本物理学会若手奨励賞 (2023)
- フラーレン・ナノチューブ・グラフェン学会 飯島奨励賞 (2019)
- 京都大学 総長賞 (2015)
Funds
- 学術変革領域研究(A) (2024)
- キヤノン財団 (2024)
- 基盤研究(B) (2022)
- 若手研究 (2020)
- 若手研究(B) (2016)
- 特別研究員奨励費 (2015)
Research Center for Materials Nanoarchitectonics (MANA)
量子ナノ構造の光科学
低次元材料,量子光源,ナノ構造制御
Overview
本研究は、次世代の情報処理・通信技術として注目されている量子光を用いる手法を進化させることを目指している。その手段として架橋カーボンナノチューブを活用し、これまで不可能だった気相化学反応法で量子欠陥を導入した。これにより、架橋カーボンナノチューブの発光効率を高め、さらに発光特性を細かくコントロールできるようになった。これは、例えばデータ通信の分野で、より高速・高容量の情報処理が可能になる等、幅広い応用が期待される。特に、低密度で量子欠陥を導入できることが強みで、単一光子源としての性能向上につながる。
Novelty and originality
● 気相化学反応法の導入: 従来、カーボンナノチューブの化学修飾は溶液プロセスを用いており、架橋カーボンナノチューブには適用できなかった。本研究では、気相化学反応法を用いることで、架橋カーボンナノチューブに対する化学修飾が可能になった。
● 反応精度の向上: 気相化学反応法を用いることで、反応分子数の精密なコントロールが可能となり、単一分子レベルでの量子欠陥導入が可能になる。
● 低密度の欠陥導入: 本手法は、ナノチューブの長さ1マイクロメートルあたり1-2個という、非常に低密度の欠陥が導入できる点で新しい。これにより、単一光子源としての性能向上が期待される。
Details
本研究では、気相化学反応法を用いて架橋カーボンナノチューブに量子欠陥を導入する手法を開発した。架橋カーボンナノチューブには、高い発光効率と、情報通信波長帯域での単一光子発生の可能性があり、量子情報処理技術の進化に寄与する。
架橋カーボンナノチューブに量子欠陥を導入すると、その発光スペクトルが変化し、新たなピークが観測されることが分かった。これは、量子欠陥の導入により新たな発光源が生成されることを示しており、この発光源の利用が期待される。
また、気相化学反応法を用いることで、架橋カーボンナノチューブの直径が小さいほど、より高い反応性と高密度の欠陥導入が可能であることが明らかになった。これは、精密な発光特性制御に寄与する。
これらの成果は、量子情報処理技術、特に単一光子源の性能向上につながると考えられる。単一光子源は、量子コンピューターや量子通信などの量子情報技術の重要な要素であり、その性能向上は、これらの技術の発展に大きく寄与する。したがって、本研究は、次世代の情報処理・通信技術向けの新たな技術として、大きな市場性を持つと考えられる。
さらに、本手法を用いることで、反応条件を最適化し、ナノチューブ1本に対して量子欠陥が1個だけある構造を作製することが可能になる。これは、単一光子源の制御精度をさらに向上させる可能性を秘めている。
Summary
● 応用分野:量子情報処理、光エレクトロニクス
● 今後の課題:反応条件の最適化、デバイス設計への適応性評価、量子効果の長期安定性確認
● 達成していること:気相化学反応法で架橋カーボンナノチューブに量子欠陥導入、欠陥導入とナノチューブ結晶構造の関連性確認
● 達成したいこと:安定した量子欠陥導入、発光の長期安定性向上、実用デバイスへの応用