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研究内容

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

所属学会

日本固体イオニクス学会, 電気化学会

エネルギー・環境材料研究センター
タイトル

固体電解質の界面輸送特性制御

キーワード

固体電解質,セラミックス,イオン伝導,粒界抵抗,全固体電池

概要

安全性に優れ、高性能な次世代電池として期待される酸化物型全固体電池の作製方法として、電解質を緻密に焼結するとともに電極活物質との接合を達成して界面輸送特性を確保する焼成プロセスが期待されるが、高温における焼成により電解質/電極活物質界面に高抵抗な異相が生成する恐れがある。異相の生成反応を抑制することを目的とした焼成プロセスの低温化に向けた、酸化物固体電解質の焼結性を向上させるための取り組みを進めている。また、緻密な固体電解質においてもしばしば観測される高い粒界抵抗の起源解明と低減手法について検討している。

新規性・独創性

相関係の解明と熱力学的考察による低温焼結メカニズムの解明
メカニズムに基づいた焼結助剤の提案と最適化
粒界抵抗の起源解明と積極的な制御

内容

NASICON型固体電解質Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3(LATP)について、正極材料LiCoPO4と混合すると焼結性が著しく向上する現象に注目し、構成元素の一部をCoで置換した組成の焼結性と生成相を詳細に調べた。その結果から、著しく高い焼結性を示す組成(右図のグラフにおけるseries(A))はLATPと平衡する共存相として低融点化合物であるLiPO3を生成することが示唆された。すなわち高焼結性の原因はLiPO3を起点とする液相の生成による物質移動の促進であり、LiPO3と平衡する組成(右図における網掛けをした三角形内部)であればCoの有無に依らず高い焼結性を示し、この原理に基づいて低温焼結のための多様な焼結助剤を提案することが可能である。

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セラミックス固体電解質のイオン伝導性は緻密化により向上するが、十分に緻密化しても粒界において高いイオン輸送抵抗を示す材料が多い。この粒界抵抗は不純物の析出などが無い場合においても観測され、いわゆる空間電荷効果に由来するというモデルがある。すなわち、粒界近傍に形成されるイオン伝導キャリアの欠乏層が抵抗の要因となると考えられ、この仮定に基づいた粒界抵抗の起源解明に取り組んでいる。また、このキャリア欠乏層を解消するための新規プロセスや材料を開発することにより、化学-エネルギー変換デバイスの要であるセラミックス固体電解質の特性向上を目指す。

まとめ

NASICON型固体電解質における焼結促進現象のメカニズムを解明し、焼結助剤を提案するための基盤を構築した。
多様な材料系の焼結に対して同様の検討を進めている。
粒界抵抗の起源解明と制御に向けた検討を行っている。

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