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Research Center for Materials Nanoarchitectonics (MANA)
Title

アニオンの複合化による新機能材料の探索

Keywords

酸化物,複合アニオン,光触媒,第二高調波発生,低次元磁性,アニオン伝導

Overview

既存の科学基盤技術に用いられている材料の多くは酸化物、窒化物等の単一のアニオンからなる物質群である。近年、物理的・化学的性質が大きく異なる複数のアニオンを複合化することにより、既存材料の機能性を高める、もしくは全く新しい機能を発現する研究が盛んに行われている。本研究では高圧合成、低温合成、フラックス法等用いて酸カルコゲナイドおよび酸ハロゲン化物の新規合成を行い、特に光触媒、非線形光学、低次元磁性、アニオン伝導性など機能・物性の評価を行っている。

Novelty and originality

酸素・ハロゲンの複合化により遷移金属の配位構造・配位数を変化させ、磁気基底状態を制御することに成功
Sr2CoO3Fにおいて、5配位から6配位への構造変化を伴う無機固体物質で初めての圧力誘起スピン転移現象を発見
ZnO/ZnSでは発現しえない水の酸化・還元機能を有する亜鉛酸硫化物SrZn2S2Oの新規合成に成功
カルコゲン元素を含有する紫外非線形光学材料La3Ga3Ge2S3O10を発見

Details

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(i) 複合アニオン化合物は一般的に単一アニオン化合物より不安定であり、また合成できたとしても相同定が困難であることが多い。本研究では複合アニオン化合物の合成に有効な高圧合成法、低温固相反応法、さらには単結晶が得られるフラックス法をも駆使して新規物質の開拓に取り組んでいる。
(ii) Sr2NiO3X (X = Cl, F)は二次元配列したNiO2面をもつ低次元磁性体である。低スピン状態のNi3+が5つの酸素と正方四角推配位をとる。頂点サイトを占有するハロゲン原子の秩序状態がClとFの場合とで異なり、磁気基底状態にも影響を与える。
(iii) カルコゲナイド化合物は赤外用途の非線形光学材料として応用されている。本研究ではカルコゲン元素の大きな分極率を紫外用途に適用するために、酸素とカルコゲンの複合アニオン化により、短い吸収端波長と大きな非線形光学係数を有する新規酸カルコゲナイド化合物の探索を進めている。
(iv) 酸素と硫黄の複合アニオン化は光触媒の可視光応答性を可能にするアプローチとして知られている。本研究では、ZnO/ZnSより優れた水分解機能を有する光触媒SrZn2S2Oの合成に成功している。

Summary

複合アニオン化合物の研究は単一アニオン化合物と比較して歴史が短く、物質例も極端に少ない。それにもかかわらずSiALON蛍光体のように突出した機能材料が生まれていることからわかるように、複合アニオン化合物には従来の化合物を超える機能特性が期待される。本研究では実用材料を視野に入れた新しいモデル化合物の開拓を進めていく。

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