外部併任先
研究内容
- Keywords
電気化学,燃料電池,ナノ構造体, X線構造解析
電気化学デバイス用材料の開発を視野に、ナノ材料の合成と精密な構造解析を通じた物性の本質的な理解を進めています。原子がいかに並び、物性を発現しているかを理解することで、革新的な材料開発へと繋げる基礎研究をしています。
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Satoshi Tominaka, Ryota Ishibiki, Asahi Fujino, Kohsaku Kawakami, Koji Ohara, Takuya Masuda, Iwao Matsuda, Hideo Hosono, Takahiro Kondo. Geometrical Frustration of B-H Bonds in Layered Hydrogen Borides Accessible by Soft Chemistry. Chem. 6 [2] (2020) 406-418 10.1016/j.chempr.2019.11.006
- Satoshi Tominaka, Hiroki Yamada, Satoshi Hiroi, Saori I. Kawaguchi, Koji Ohara. Lepidocrocite-Type Titanate Formation from Isostructural Prestructures under Hydrothermal Reactions: Observation by Synchrotron X-ray Total Scattering Analyses. ACS Omega. 3 [8] (2018) 8874-8881 10.1021/acsomega.8b01693 Open Access
- Satoshi Tominaka, François-Xavier Coudert, Thang D. Dao, Tadaaki Nagao, Anthony K. Cheetham. Insulator-to-Proton-Conductor Transition in a Dense Metal–Organic Framework. Journal of the American Chemical Society. 137 [20] (2015) 6428-6431 10.1021/jacs.5b02777
書籍
- 冨中 悟史. 二体分布関数を用いた構造解析:医薬品への応用. CMC出版, 2019
- TOMINAKA, Satoshi, Tetsuya Osaka. New Trend of Miniature Fuel Cells. Fuel Cell Performance. , 2012, 119-142.
会議録
- H. Igarashi, A. Ishihara, T. Nagai, S. Tominaka, K. Matsuzawa, T. W. Napporn, S. Mitsushima, K.-i. Ota. Reduced Titanium Oxide as Carbon-Free Support of Non-Precious Metal Oxide-Based Cathodes for PEFCs. ECS TRANSACTIONS. (2016) 863-868 10.1149/07514.0863ecst
- TOMINAKA, Satoshi. Electrochemical Synthesis of Nanostructured Pd-based Catalyst and Its Application to On-Chip Fuel Cells. Book (Proceeding volumes), Springer. (2012) 143-152
- 冨中 悟史. マイクロデバイス用燃料電池の設計と実験データとの比較. COMSOL Multiphysics 使用事例集. (2011) 1-5
口頭発表
- 冨中 悟史. X線全散乱測定とPDF解析. 日本結晶学会 年会. 2019 招待講演
- TOMINAKA, Satoshi. Finding hidden symmetries in low-dimensional materials by X-ray pair distribution functions. Pacrim13. 2019 招待講演
- 冨中 悟史. X線全散乱・PDF解析の研究事例. SPring-8を利用したセラミックス材料の構造物性研究 - 何ができるか? 何がわかるか?. 2019 招待講演
その他の文献
- 冨中 悟史. 原子構造解析に基づく低次元材料の物性と機能の理解. 日本化学会研究会「低次元系光機能材料研究会」ニュースレター. 26 (2022) 18-19
- 冨中 悟史. 燃料電池研究の将来とキャリア形成について. The Journal of Fuel Cell Technology. 23 (2023) 75-79
- 冨中悟史. 二体分布関数を用いたナノマテリアルの構造解析の実際. Bulletin of Japan Society of Coordination Chemistry. (2018) 59-63
公開特許出願
所属学会
電気化学会, Electrochemical Society
マテリアル基盤研究センター
先端構造解析に基づく材料機能の理解と自律探索
X線構造解析,全散乱,放射光,燃料電池,触媒,人工知能,自律探索
概要
物質・材料の機能は原子の種類と配置によって決まる。構造解析が困難なナノ材料や低次元材料を中心に、詳細な解析を通じて機能発現の根源を理解する研究を行い、燃料電池触媒、ペロブスカイト結晶、導電性ナノシート材料など多くの分野で解析に成功している。例えば、僅かな原子位置の変化による物性の大きな変化について、導電性ナノシートやペロブスカイト材料で報告している。また、電子レベルの秩序についても解析を試み、新しい化学結合様式の発見にも成功している。さらに、この先端かつ高速解析を主軸に、合成へフィードバックし自律的に材料を探索するシステムの開発も行っている。
新規性・独創性
● 物質としての新規性を定義可能な構造情報の取得(新物質の証明)
● 独自プログラムを用いた正確かつ高速な解析(1000倍の高速化)
● 長期間構造が謎だった材料の解析に成功
● 人工知能導入による構造解析の高度化
● 高速データ解析に基づく燃料電池触媒の自律探索(1000倍の探索スピード)
内容
全散乱データを用いた二体分布関数を中心に、様々な計測手法や計算化学を併用して多角的に構造解析を行い材料の機能発現の本質を研究している(図上段)。特に解析が困難なナノ材料や低次元材料を主に扱い、機能発現下での解析を含め、原子位置やその対称性、原子レベルの歪などを解析することで、様々な材料の本質の解明に成功している(図中段)。構造未知の物質の解明にも成功しており、新物質としての知財獲得に繋がる技術である。計測は放射光施設で行い、解析はNIMSで開発している独自のプログラムで行うことで、正確かつ高速な解析が可能になっている。例えば酸化ルテニウムナノシートの構造は20年以上に渡って不明だったが、秩序だった歪が生じることでグラフェンのような電子状態になり、高い導電性を発現することを解明した。個別の材料の解析を進め、燃料電池や太陽電池、エレクトロニクスなどの分野へ貢献しながら、解析技術の高度化を続けている。例えば、複雑な材料の解析では、1つの仮説の検証に1年かかるが、その解析が1晩で終わるようになった。研究者の解析を高度・高速化する基盤を構築してきており、その基盤を人工知能やロボットと結びつけることで、人間の1000倍近いスピードで燃料電池触媒を探索するシステムの構築を行っている(図下段)。
まとめ
● 詳細かつ高速な構造解析技術は様々分野で重要(基礎研究、品質管理、知財獲得など)
● 高度解析技術はプログラム実装を継続(独自性、高度化)
● ベイズ最適など基礎的な機械学習は導入済み
● 人間の活動の大半を置き換える複雑なアルゴリズムの構築が今後の解決すべき課題