SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

希土類、近赤外蛍光体、結晶化ガラス、白色LED、固体照明、配位化合物

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                                                                               LEDなど光産業を支える蛍光体の発光強度は、物質の(i)光吸収能力(i.e.吸収係数)と、吸収した光を別波長に変える(ii)変換効率(i.e.量子効率)の大きさの積に比例します。また如何にその2つが優れていても材料としての安定性や熱・光耐久性が低くければ光デバイスで用いることのできる蛍光体にはなりません。私の研究では金属イオンを含んだ無機化学、分子設計を可能にする有機化学を駆使し原子分子レベルで設計した新しい発光材料(蛍光体)を創出しています。                                                         
(1)『希土類を用いた新規の配位蛍光体』
 希土類配位蛍光体は発光中心となり色を決める"希土類イオン"、構造を作り光アンテナとなる"有機配位子"で構成される。私の研究では、有機配位子を化学合成しレゴブロックのように組み立てることで新しい機能を持ったオリジナル蛍光体を造ります。これまで多くの共同研究者や指導学生と共に、様々な特異機能を持つ新しい分子を設計し合成してきました。これら配位蛍光体は量子ドットと異なり無色透明な結晶であり、分子でもあるため様々なバインダーに分散できるため次世代透明発光ディスプレイやマイクロLEDへの応用が可能になります。
                                                     
(2)『新規な可視~近赤外セラミック蛍光体の探索/開発』
 1996年に始まった”青色LED+可視蛍光体”を用いた白色LED研究は大きく移り変わりました。過去20年、産学研究者による青(or近紫外)色LEDの進展は、ワットクラスの光を容易に創り出すLD(レーザーダイオード)へ進化し、また半導体プリント技術の進展によりLED素子も目で見えないほど小さくなりました。高エネルギーの光が高出力・超小型化したことで、従来の蛍光体は新しいステージに進み、これまで以上の高機能・高効率な発光体バリエーションが求められます。私の研究では、このLED next generationに向けた新規蛍光体を無機材料科学に基づき設計合成することを行なっています。

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

口頭発表

    所属学会

    応用物理学会, 日本セラミックス協会, 日本希土類学会, American Ceramic Society, American Chemical Society

    受賞履歴

    • 日本鉄鋼協会 『澤村論文賞』 Hydrogen Permeation into a Carbon Steel Sheet Observed by a Micro-capillary Combined with a Devanathan-Stachurski Cell (共同受賞) (2018)
    • 日本希土類学会 学会奨励賞「足立賞」 (2018)
    • 日本セラミックス協会 学会賞「進歩賞」 (2014)
    • 日本セラミックス協会J.Cer.S.J.「優秀論文賞」 (2011)
    • The IUMRS International Conference in Asia 2008.Certificate of award for encouragement of research in materials science. (2008)
    • 日本セラミックス協会 『最優秀発表賞』 Eu2+賦活Ca2SiO4, Ca3Si2O7 析出結晶化ガラスの作成とその発光特性 (2008)

    外部資金獲得履歴

    • JSPS外国人招へい研究(短期) (2022)
    • 科研費基盤B「単一粒子分光解析を用いた希土類配位結晶の刺激発光機能の解明」 (2021)
    • 科研費萌芽研究「レーザー光で電荷を自由に運ぶ透明セラミックへの挑戦」 (2017)
    • 科研費若手A「 微小反応場を用いるトリボ発光性希土類配位高分子材料の深化」 (2017)
    • 科研費若手B 無機らせん構造を有する結晶ガラス・コンポジットの創製と磁気光学機能の増強 (2015)
    • JST A-step「希土類配位高分子を用いたLED波長変換材料の開発 (2015)
    • 科研費スタートアップ 「ナノ磁性半導体を分散させた光機能性ガラスコンポジットの創製 (2011)
    電子・光機能材料研究センター
    タイトル

    次世代光源デバイスを指向する特殊蛍光体の開発と応用研究

    キーワード

    蛍光体,希土類配位化合物,遷移金属,LED波長変換材料

    概要

    高エネルギーの光やX線を吸収し『発光』に変換する蛍光物質は日本の光産業を支えるキーマテリアルである。近年はディスプレイやμLEDの波長変換材料、医療機器など多様な用途に合わせた新しい蛍光材料が要求されている。本研究では材料化を意識した明確な研究指針のもと、遷移金属や希土類を発光中心として、”セラミックス”および”無機有機ハイブリッド”の高輝度蛍光体を数多く創出し、その学理深化を進めてきた。特に産業連携では具体的な企業ニーズを吸上げ、共同開発による社会貢献を重視している。現在、力を入れる領域は、①分析光として重要な『超広帯域の近赤外LED』および②Min/Micro-LEDsを指向する『高輝度ナノ蛍光体の実用分野』であり、産学からのアプローチを期待している状況である。

    新規性・独創性

    内/外部量子効率が世界トップクラスの400-1500nmの可視-近赤外帯蛍光体の開発
    長時間の光源安定性を有するブロード近赤外LEDデバイスの実現
    紫外-青帯で励起可能な狭線ナノ蛍光体の開発(発光幅<10 nm)

    内容

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    新規の近赤外蛍光体の開発』産学技術者/研究者による青色LED技術の進展はミリサイズのチップでワット(W)以上の光を創り出すレーザーダイオードへ進化している。一方で半導体プリント技術は素子が目で見えないほど小さく大面積化をも可能にする。蛍光体も同様に新ステージへ進すみ、本研究では特にセンサ光源やセキュリティ、生体に有用な近赤外700-1800nm発光をターゲットに新規の蛍光体を開発を進めている。開発目標である高効率で面発光が得られる超白色LED光源の実現には、各波長帯で実用的な複数蛍光体が不可欠である。昨今はニーズごとに求められる光の”質”が異なり、具体的応用に向けては産学との密な連携が重要であり要望を期待している。

    高輝度配位蛍光体の新規開発/産業応用』発光強度は物質の光吸収能力と変換効率の積である。しかし如何に2つが優れても材料安定性や熱・光耐久性が低くければ材料にはならない。本研究では無機と有機化学の基礎学理を駆使し、分子レベルで設計した材料特化の希土類配位蛍光体を創出することである。配位蛍光体は発光中心となる希土類と、構造を作り光アンテナとなる有機配位子部で構成される。各パーツをレゴブロックのように組み上げることで新機能を持つオリジナル蛍光体創出が可能となる。これらは強い光吸収を有し有機バインダーに分散できる利点から次世代の透明ディスプレイやマイクロLED応用に期待される。

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    まとめ

    本研究では、可視-近赤外帯での強発光、ブロード、狭線発光などそれぞれ特徴を持った特殊蛍光体開発を行なっておりその材料提案が可能。
    ”よく光ること”、”実用材料”をキーワードにした蛍光体物質設計により、社会ニーズにフレキシブルに対応した材料開発を提供可能。

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