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研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
所属学会
日本材料試験技術協会
構造材料研究センター
微小球反発硬さ試験機
硬さ試験,反発硬さ,反発係数,JIS,アルミナ,金属,セラミックス,木材,食品
概要
本試験機は、直径3mmのアルミナ微小球を試料に衝突させ、行きと帰りの速度の比、つまり反発係数を計測する。塑性変形しにくい硬い試料ほど、反発係数は大きくなる。微小球は軽量(0.056g)なので、小さく薄い試料にも適用でき、試料に与える損傷も小さい。くぼみ寸法の計測が不要なので、一瞬で測定が完了するとともに、個人差がほとんどなく再現性も高い。金属材料だけでなく、セラミックスや木材、食品など幅広い材料に適用可能である。2023年現在、経済産業省の新市場創造型標準化制度の下でJISの原案作成が進められている。
新規性・独創性
反発式の硬さ試験機は押し込み式の硬さ試験に比べて、顕微鏡でくぼみの大きさを計測する必要がないことから、現場向きの試験機といえる。しかし、従来の反発硬さ試験機では、数g〜数十gのインパクトボディ(衝突体)を利用するため、小さな試料に対しては正確な測定ができない。微小球反発硬さ試験機では、安価かつ高い形状精度を有する直径3mmのアルミナ微小球(0.056g)を使うことで、小さな部品から大きな構造物までを正確に測定できる。
内容
(左図)微小球を試料に速度V1で衝突させると、速度V2で跳ね返る。この時のV1とV2の速度比を反発係数eと呼ぶ。試料が弾性変形だけでくぼみが残らない場合、理想的には行きと帰りの速度は同じになるので、e = 1となる。一方、試料が塑性変形する場合には、微小球の運動エネルギーからくぼみの形成に費やされたエネルギーが失われるため、eが1より小さくなる。一般に、塑性変形しやすい試料ほどeが小さく、塑性変形しにくい試料ほどeが大きくなるので、反発係数eは硬さの指標となる。
まとめ
● 微小球反発硬さ試験機は、複雑な調整が不要で、誰でもすぐに使える再現性の高い硬さ試験機である。
● 小さな部品から大きな構造物まで、金属、セラミックス、木材、食品など幅広い材料に適用できる汎用的な硬さ試験機である。
● 製品化後、高い評価を受け、現在は経済産業省の新市場創造型標準化制度の下でJISの原案作成が進められている。