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学生受け入れ中
研究内容
- Keywords
非晶質、微粒子、DDS
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
論文
- Kohsaku Kawakami, Takuji Harada, Keiko Miura, Yasuo Yoshihashi, Etsuo Yonemochi, Katsuhide Terada, Hiroshi Moriyama. Relationship between Crystallization Tendencies during Cooling from Melt and Isothermal Storage: Toward a General Understanding of Physical Stability of Pharmaceutical Glasses. Molecular Pharmaceutics. 11 [6] (2014) 1835-1843 10.1021/mp400679m
- Kohsaku Kawakami, Takuji Harada, Yasuo Yoshihashi, Etsuo Yonemochi, Katsuhide Terada, Hiroshi Moriyama. Correlation between Glass-Forming Ability and Fragility of Pharmaceutical Compounds. The Journal of Physical Chemistry B. 119 [14] (2015) 4873-4880 10.1021/jp509646z
- Kohsaku Kawakami. Modification of physicochemical characteristics of active pharmaceutical ingredients and application of supersaturatable dosage forms for improving bioavailability of poorly absorbed drugs. Advanced Drug Delivery Reviews. 64 [6] (2012) 480-495 10.1016/j.addr.2011.10.009
書籍
- KAWAKAMI, Kohsaku. Pharmaceutical applications of thermal analysis. Elsevier, 2018
- KAWAKAMI, Kohsaku. Managing Thermal History to Stabilize/Destabilize Pharmaceutical Glasses. Springer, 2020, 17.
- Kohsaku Kawakami*, Mitsuhiro Ebara. Chapter 10. Nanotechnology in Drug Delivery Systems. Manipulation of Nanoscale Materials. Royal Society of Chemistry, 2012, 242-258. 10.1039/9781849735124-00242
会議録
- KAWAKAMI, Kohsaku. Particle Design Using Electrospray Deposition Technology. 講演プロシーディング. (2011) 15-16
- 川上 亘作. 難水溶性薬物のための製剤技術―背景理論をふまえた開発戦略―. 講演会要旨集. (2009) 1-6
口頭発表
- KAWAKAMI, Kohsaku. Prediction of In Vivo Absorption and Storage Stability of High-Energy Solid Dosage Forms. AAPS Annual Meeting and Exposition 2016. 2016 招待講演
- KAWAKAMI, Kohsaku, TOMINAKA, Satoshi, FUKUSHIMA, Mayuko. Regulating Isothermal Crystallization of Pharmaceutical Glasses. ICTAC 2016 . 2016
- KAWAKAMI, Kohsaku, ZHANG, Shaoling, FUKUSHIMA, Mayuko, MIYAZAKI, Aoi, SATO, Keiko, Yuko Yamamura, Kohta Mohri, Shinji Sakuma. Mesoporous Phospholipid Particle as a Novel Platform Carrier for Drug Delivery. 3rd International Conference on Biomaterials Science. 2016
その他の文献
- 川上 亘作. 界面活性剤を利用した難水溶性薬物可溶化技術の有用性と留意点. Pharm stage. (2020) 50-55
- 川上 亘作, 井澤浩則. シクロデキストリン修飾高分子を利用した低負荷疾患治療材料. 月刊ソフトマター. (2020) 10-12
- 川上 亘作. 両親媒性分子が形成する分子集合体の医薬応用. Accounts of Materials & Surface Research. [1] (2018) 17-26
所属学会
日本熱測定学会, 日本薬剤学会, 日本DDS学会, International Confederation for Thermal Analysis and Calorimetry, European Colloid & Interface Society
受賞履歴
- 日本薬剤学会 旭化成創剤研究奨励賞(2012)、日本熱測定学会奨励賞(2009)、日本薬剤学会奨励賞(2004)、日本薬剤学会最優秀発表者賞(2001) ()
高分子・バイオ材料研究センター
医療関連ソフトマターの非平衡ダイナミクス
医薬品,非晶質,過飽和,相分離,ナノ粒子
概要
効果的な医薬品は、活性物質の創成に加えてその機能を最大化するための製剤化によって完成する。特に近年は難水溶性の医薬品化合物が多く創出されており、それらを溶解度以上に溶解させる技術が求められている。我々は非晶質状態を利用することで安定な過飽和溶解状態を形成する技術を開発しているが、そのためには非平衡状態にある医薬品および関連材料の固体ダイナミクスや溶解過程の制御が必要となる。構造多様性を持つ有機分子の非平衡ダイナミクスの理解と制御は基礎科学としても解明が望まれている分野であり、非晶質医薬品の実用化を志向しつつも核形成理論の深化など基礎科学の発展にも貢献している。
新規性・独創性
● 直接観察が極めて困難な核形成過程の評価を実現した
● 結晶化速度を予測する一般則を導いた
● 非晶質材料の過飽和溶解過程を制御し、医薬品の消化管吸収を液液相分離濃度で説明した
● 分子構造や分子間相互作用の多様性に富む有機低分子の結晶化理論構築を進めている
内容
難水溶性医薬品の実用化手段のひとつとして非晶質状態の利用があるが、その保存安定性を担保するためには結晶化挙動を把握しなければならない。さらに、医薬品分子の結晶化挙動を厳密に制御するためには、まず核形成過程を制御しなければならない。核形成過程は直接的な観察が極めて困難であるが、我々は熱履歴を厳密に制御した実験により核形成過程の評価に成功した。さらにそれを利用して核形成させた非晶質のダイナミクスを評価したところ、構造不均一化により緩和挙動や協同運動領域に変化が生じることを見出した。これは、逆にこれらの物性を観察することで、材料中の核形成を類推できることを意味している。
まとめ
● 有機分子が形成する非晶質固体ついて、緩和・核形成・結晶成長等のダイナミクスを高度に制御、かつ一般論として解釈することに成功した。
● 非晶質固体が形成する過飽和溶解状態の効果的な創出や制御に成功した。
● 以上の成果は非晶質医薬品への応用のみならず、非晶質状態が活かせる多くの産業分野への展開が期待される。