SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

非晶質、微粒子、DDS

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

論文
書籍

所属学会

日本熱測定学会, 日本薬剤学会, 日本DDS学会, International Confederation for Thermal Analysis and Calorimetry, European Colloid & Interface Society

受賞履歴

  • 日本薬剤学会 旭化成創剤研究奨励賞(2012)、日本熱測定学会奨励賞(2009)、日本薬剤学会奨励賞(2004)、日本薬剤学会最優秀発表者賞(2001) ()
高分子・バイオ材料研究センター
タイトル

医療関連ソフトマターの非平衡ダイナミクス

キーワード

医薬品,非晶質,過飽和,相分離,ナノ粒子

概要

効果的な医薬品は、活性物質の創成に加えてその機能を最大化するための製剤化によって完成する。特に近年は難水溶性の医薬品化合物が多く創出されており、それらを溶解度以上に溶解させる技術が求められている。我々は非晶質状態を利用することで安定な過飽和溶解状態を形成する技術を開発しているが、そのためには非平衡状態にある医薬品および関連材料の固体ダイナミクスや溶解過程の制御が必要となる。構造多様性を持つ有機分子の非平衡ダイナミクスの理解と制御は基礎科学としても解明が望まれている分野であり、非晶質医薬品の実用化を志向しつつも核形成理論の深化など基礎科学の発展にも貢献している。

新規性・独創性

直接観察が極めて困難な核形成過程の評価を実現した
結晶化速度を予測する一般則を導いた
非晶質材料の過飽和溶解過程を制御し、医薬品の消化管吸収を液液相分離濃度で説明した
分子構造や分子間相互作用の多様性に富む有機低分子の結晶化理論構築を進めている

内容

難水溶性医薬品の実用化手段のひとつとして非晶質状態の利用があるが、その保存安定性を担保するためには結晶化挙動を把握しなければならない。さらに、医薬品分子の結晶化挙動を厳密に制御するためには、まず核形成過程を制御しなければならない。核形成過程は直接的な観察が極めて困難であるが、我々は熱履歴を厳密に制御した実験により核形成過程の評価に成功した。さらにそれを利用して核形成させた非晶質のダイナミクスを評価したところ、構造不均一化により緩和挙動や協同運動領域に変化が生じることを見出した。これは、逆にこれらの物性を観察することで、材料中の核形成を類推できることを意味している。

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非晶質固体は結晶溶解度以上の濃度で溶解し、過飽和状態を形成する。この過程において結晶化を抑制すると、一定濃度以上の過飽和溶液はスピノーダル分解の原理により安定化され液液相分離を起こす。このとき濃縮相をナノ粒子として安定化することで、過飽和状態を安定に維持し、消化管吸収が溶解度律速となる薬物の吸収性を大幅に高めることができる。以上の非平衡過程は晶析速度、固相転移速度、界面エネルギー、さらには消化管内のpH変化や生体成分の影響等の多くの因子に影響を受けるため制御が難しいが、我々はこの過程を安定化し消化管吸収を促進するための多くの知見を有している。

まとめ

有機分子が形成する非晶質固体ついて、緩和・核形成・結晶成長等のダイナミクスを高度に制御、かつ一般論として解釈することに成功した。
非晶質固体が形成する過飽和溶解状態の効果的な創出や制御に成功した。
以上の成果は非晶質医薬品への応用のみならず、非晶質状態が活かせる多くの産業分野への展開が期待される。

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