HOME > Profile > ISHIOKA, Kunie
- Address
- 305-0047 1-2-1 Sengen Tsukuba Ibaraki JAPAN [Access]
Research
- Keywords
光物性、超高速分光、格子振動
PublicationsNIMS affiliated publications since 2004.
Published patent applications
- 気体原子または気体分子の飛行時間型速度測定装置 (2002)
- 金属試料の特性を光学的に測定する方法及び装置 (2002)
- 物質の光応答を測定する方法およびその装置 (2004)
Research Center for Energy and Environmental Materials (GREEN)
埋もれた界面物性評価のための超高速分光技術
コヒーレント・フォノン,ポンプ・プローブ,ペロブスカイト太陽電池
Overview
わたしたちは日常生活で、光触媒、太陽電池、LED、レーザーなどさまざまな材料からつくられた光電子デバイスに囲まれて暮らしています。これらのデバイスの機能は、電子・正孔の光励起とそのエネルギー緩和、輸送、再結合といった微視的な過程に基づいています。このような過程は通常フェムト秒からマイクロ秒の時間スケールで起こり、異なる微視的過程の間の競合がしばしばデバイスの効率を左右します。当研究室ではポンプ・プローブ技術を用いて金属、半導体およびそれらのナノ構造の超高速光学応答を研究しています。特にフェムト秒パルス光によって物質中に誘起されるコヒーレントフォノンに注目し、これらのフォノンを用いた「埋もれた界面」の電子状態や原子構造の評価への応用を目指しています。
Novelty and originality
時間分解能10フェムト秒以下、過渡透過または反射率変化1E-5以下のすぐれた検出能を利用して、光損傷を受けやすい試料の微弱な光応答も評価することが可能になっています。
Details
次世代の太陽電池材料として期待される無機有機ハイブリッド鉛ハライドペロブスカイトは、柔らかい鉛ハライド八面体の枠組みの中に有機分子カチオンが埋め込まれた構造を有します。無機・有機いずれの構成要素も、室温で動的無秩序をもつと理論的に予測され、これが結晶構造安定性やキャリア輸送を左右する可能性が指摘されてきました。本研究室ではMethylammonium lead iodide(MAPbI3)薄膜の時間分解カー効果測定をバンド端励起の条件で行い、その格子振動のダイナミクスを調べました。信号には1.2 THzの無機PbI格子の変角(bending)に加えて、有機カチオンの捻り(MA+ twisting)および秤動(MA+ libration)に起因する4および8 THzの周期的変調が観測されました。いずれの振動数も励起光強度の増強とともに高波数シフトを示し、理論で予測された無機格子、有機カチオンの振動の強い非調和性を実験的に検証する結果となっています。
Summary
白色プローブ光、マルチチャンネル検出器を用いた多波長同時計測による高効率化が、今後の課題となっています。