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研究内容

所属学会

日本物理学会, 日本磁気学会

電子・光機能材料研究センター
タイトル

X線全反射を利用した界面電子状態の研究

キーワード

硬X線光電子分光,X線全反射,半導体ヘテロ界面,絶縁体/強磁性体界面,界面電子状態,界面磁気状態

概要

硬X線光電子分光は、従来の光電子分光にくらべ検出深度が深いため、バルク敏感な電子状態の測定を行うことができる。機能性デバイスのヘテロ界面での電子状態、磁気状態の検出を非破壊で行うことは、デバイスの性能向上のための指針につながるため、検出深度が深い硬X線光電子分光は有効である。界面近傍の電子状態、磁気状態の詳細を調べるために、X線全反射と硬X線光電子分光の組み合わせが有効であることを明らかにした。本手法を用いることで、半導体ヘテロ接合近傍のバンドオフセットや絶縁体/強磁性体界面での電子状態や磁気状態を検出することができる。

新規性・独創性

光電子の放出深さ分布をX線全反射を利用して制御
非破壊で界面近傍の電子状態の測定が可能
従来の深さ依存測定に比べて10倍以上の高速化を実現
バンドオフセットやバンド曲がりの検出に有効
円偏光X線の利用で、強磁性体の磁気情報も得られる

内容

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硬X線光電子分光を非全反射条件で行うと、表面よりも深い領域の光電子の寄与が高くなる。一方、全反射条件とすることで、物質Aと物質Bの界面(物質Aが無い場合は、物質Bの表面)近傍からの光電子の寄与を高めることができる。X線の侵入長を全反射臨界角近傍で制御した硬X線光電子分光により、バルクのワイドギャップ半導体の表面バンド曲がりを検出することに成功した。また、絶縁体/強磁性体界面に対して本手法を適用した結果、界面近傍での磁化はバルク領域に比べて減少することも明らかとなった。本手法は、半導体ヘテロ界面のバンドオフセットや絶縁体/強磁性体界面の電子状態、磁気状態を非破壊で検出することができるため、デバイスの性能向上に必要な知見が得られるものと期待される。

まとめ

硬X線光電子分光を用いて、高スループット深さ依存性電子状態測定法をX線全反射と組み合わせることで実現した。半導体の表面バンド曲がりのみならず、デバイス構造中の半導体ヘテロ界面でのバンドオフセットの直接測定、ならびに絶縁体/強磁性体界面近傍における強磁性体の電子状態、磁気状態測定から、デバイス性能向上に必要な知見が得られるものと期待される。

この機能は所内限定です。
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