SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

全固体型リチウム二次電池、高容量負極

所属学会

日本化学会, 電気化学会, American Chemical Society, Electrochemical Society

外部資金獲得履歴

  • 先進・革新蓄電池材料評価技術開発(第2期) (2018)
  • 先端的低炭素化技術開発 - 次世代蓄電池 (2013)
エネルギー・環境材料研究センター
タイトル

固体電解質利用による新二次電池系の探索

キーワード

全固体電池,高容量負極,高電位正極,イオン伝導性無機固体電解質

概要

無機固体電解質の有する不燃・難燃性は高エネルギー密度化の進む二次電池システムに生来の高安全性を付与する。一方で、材料科学の進歩により、有機電解液では実現が不可能であった高い酸化・還元耐性及び高いイオン伝導度を有する固体電解質も数多く発見されるようになり、高安全性だけでなく高エネルギー密度化や高出力化の面でも固体電解質を利用した二次電池システムは注目を集めるようになってきた。NIMSでは、有機電解液では到達しえない固体電解質の特長やイオン伝導性固体であることの特性を利用し、特に高電位正極ならびに高容量負極活物質と固体電解質間のヘテロ固固界面や固体電池内の電極活物質間のモノ固固界面の高性能化に注力した研究開発を進めてきた。

新規性・独創性

高い還元耐性を有する無機固体電解質と電解質・活物質界面を形成することで、充放電時に繰り返される著しい体積変化に伴って有機電解液の利用では不安定化する界面を安定化し、高容量Si負極活物質の高安定動作を実現
充放電時に繰り返される著しい体積変化によって引き起こされる材料破壊をナノ多孔構造の導入で抑制し、界面が安定な固体電解質内で利用することで、高容量Si負極を実用的な容量において安定動作させることに成功
低コストで生産性に優れた粒子積層体合成技術で活物質粒子のみから成るSi負極を作製し、固体電池内での高出力・高容量動作に成功

内容

image

リチウムイオン電池の性能は、現行の材料で到達可能な理論値に限りなく近づいており、更に高性能な二次電池を実現するには、電極活物質及び電解質の変更が鍵となる。特に電極活物質は充放電時のLiの吸蔵放出に伴い大きく体積変化をする材料へ変更せざるを得ず、現行の体積変化しない材料で得られてきた知見が全く役に立たず、新たな学理を構築する必要がある。NIMSでは、充電に伴い体積が4倍になるため割れて使えなくなるが、現行の黒鉛に比べ11倍の容量を持つSiに注目し、固体電解質と組合わせた電極の開発を行ってきた。割れに繋がる体積変化に伴う歪応力の蓄積を抑えるには、応力を瞬時に除去できるナノメートル級の単位構造を導入することが有効であるが、還元耐性に劣る有機電解液を利用すると、Si上で還元分解し界面が高抵抗化するので、活物質の比表面積をただ上げるだけの設計を行うことが出来ずにジレンマに陥る。そこでNIMSでは、高い還元耐性を持つ固体電解質の利用により界面の高抵抗化を解決し、割れに強いナノ多孔構造を導入することで実用的な面容量2.2 mAh/cm2を示すSi膜が電池内で非常に安定に動作することを見出した。空隙とSiのみから成るナノ多孔Si膜が実用的な負極特性を示したことは、Siが十分に速いLi拡散性と電子伝導性を持つことを証明している。つまり、Liが出入りする電極活物質のみで電極体を作製できるという事である。実際、NIMSは固体電解質と金属集電体の間にSiナノ粒子のみを詰め込んだシンプルな電極体を、スプレー塗工という比較的安価な粒子積層技術で作り上げ、高い出力特性とサイクル安定性を実証している。

まとめ

耐還元性に優れる無機固体電解質と組合わせることで、高容量Si負極は生来の高いイオン拡散性や電子伝導性を活用することが可能
ナノ多孔構造の導入等、体積変化による材料破壊を抑制する技術を用いることでSi負極を高容量で高安定動作させることが可能
比較的安価な積層技術で作製したSi粒子積層体が、充電時の体積膨張によりその場で連続体に変化し、高い出力特性を示すことを実証

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