- Address
- 305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 [アクセス]
外部併任先
- 早稲田大学理工学術院 先進理工学研究科 ナノ理工学専攻 教授
研究内容
- Keywords
金属物性 複合材料・物性 構造・機能材料
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
所属学会
日本金属学会, 日本機械学会, 日本鉄鋼協会, Minerals,Metals & Materials Society, 日本ガスタービン学会, 日本材料科学会, 日本MRS
構造材料研究センター
耐熱耐環境金属材料の設計と表面改質
ハイエントロピー合金,耐熱合金,コーティング,高温酸化
概要
カーボンニュートラルが叫ばれてる中、水素発電やバイオマス発電、燃料電池などが注目されていますが、いずれも熱エネルギーを電気エネルギーに変換する技術です。また、ジェットエンジンやロケットなど、超高温の利用が必須である機関では、高温で過酷な環境に耐えられる部材の開発が必須である。そこでそれぞれの機関が利用する温度、雰囲気に応じ、さらにコストも考慮した材料や、コーティング技術について提案してきました。ここでは最近着目されているハイエントロピー合金による超耐熱材料の開発例、また固体酸化物型燃料電池のインターコネクターへの耐酸化コーティング開発例を紹介します。
新規性・独創性
● 高温強度に優れたIr系ハイエントロピー合金の開発に成功。スペースプレーンや超高温環境への応用に期待(特許取得済み)
● フェライト系耐熱鋼、複合酸化物を利用した耐酸化表面層の生成に成功、そのメカニズムを解明(室蘭工業大との共同研究)
内容
白金族金属元素に一つであるIrは、高融点で高い高温強度を持つが、酸化雰囲気中でIrは1000℃付近で蒸気圧の高い酸化物を生成し減耗するという問題がある。そこでハイエントロピー合金設計の概念を基盤とし、Irの持つ高温緒特性を保持しつつIr単体より安価で比重が低いIrNiPtRhAl0.5ハイエントロピー合金を開発した。図1に本合金の硬さの温度依存性について、他の合金と比較した例を示すが、特に900℃以上の高温において最も高い硬度を持つ事が明らかとなっている。本合金はIrよりも耐酸化特性に優れ、またハイエントロピーのもつ強度と延性の両立も期待できることから、点火プラグのチップや宇宙航空分野といった極限環境下での適用を視野に入れている。
まとめ
紹介したIr系ハイエントロピー合金の他、Ni基超合金と似た組織を持ちより安価なNi系ハイエントロピー超合金や、Cr, Taといった高融点金属を主元素とする耐熱ハイエントロピー合金の設計、開発を進めている。表面改質についても使用温度や環境に最適な酸化物を表面に生成させて耐酸化特性を担保する様々な手段を試みている。特にCoWO4やCrTaO4といった複合酸化物に着目している。