- Address
- 305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
液滴エピタキシー、量子ドット、ナノ材料
所属学会
応用物理学会
電子・光機能材料研究センター
Sb系化合物半導体量子ドットの形成技術
化合物半導体,分子線エピタキシー,量子ドット
概要
Stranski–Krastanov (SK)モード成長は、広く用いられている量子ドット形成法の一つであり、基板上に格子定数の異なる材料を積層するだけで、10 nm 級量子ドットが転位を伴うことなく作製できる。そのようにして作製した量子ドットは、温度安定性に優れた半導体レーザーや高感度赤外検出器などの高性能デバイスへの応用が期待されている。本研究では、従来広く研究の行われてきたInAs系材料ではなく、より幅広い波長をカバーするSb系量子ドットの形成技術の確立と形状制御、高密度化を目指す。
新規性・独創性
● Sb系量子ドットの液滴エピタキシー法による幅広い密度サイズ制御
● Sb系量子ドットの高指数面基板による高密度化の実現
● Sb系量子ドットの微傾斜基板による配列構造作製
内容
GaSb, AlSbとGaAsの間には約7%の格子不整合があり、GaAs基板上にGaSbまたはAlSbを成長させると、ひずみを緩和するため半導体島構造(量子ドット)が形成される。本研究では、さまざまな基板温度、成長速度で高指数面GaAs基板上にGaSbあるいはAlSbを積層することにより、密度や形状が大きく異なる量子ドットが形成出来ることを見出した。図1:GaAs(311)A基板上のGaSb量子ドット。通常のGaAs(100)の場合に比べて、密度が1.5~2倍に増加する。図2:GaAs(111)A基板上に作製したGaSb量子ドット。大きく平坦な多角形のドットが形成される。図3:微傾斜GaAs(111)B基板上に作製したGaSb量子ドット。ドットは[-101]方向に沿って伸び、配列する。図4:GaAs(311)A基板上に作製したAlSb量子ドット。小さなドットが高密度に形成される。
まとめ
本研究では、基板温度、成長速度、基板面方位などのパラメータの選択により、Sb系量子ドットの形状制御を試みた。しかし、レーザーや赤外検出器などの光デバイスへの応用では、量子ドットの光学特性が重要となる。本研究で得られた量子ドット形状制御の知見をもとに、光学特性を制御する手法が確立出来れば、高性能光デバイスへの応用が期待できる。