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研究内容
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
公開特許出願
- センサ出力信号の信号対雑音比を向上させる方法及び装置 (2023)
- タマネギの変質検査方法及びタマネギ病原菌同定方法 (2024)
- 多孔質材料または粒状材料を受容体層として有するセンサ (2017)
所属学会
応用物理学会, 人工知能学会
高分子・バイオ材料研究センター
センサ応答からの情報抽出:ニオイセンサの総合的開発と実用化に向けた取り組み
ニオイセンサ,材料開発,インフォマティクス,実用化
概要
センサとインフォマティクスを組み合わせることで、測定対象から多様な情報を抽出することができる。今村は、複数の特性の異なるガスセンサを組み合わせ、得られたセンサ応答をもとにその気体(=ニオイ)が何であるかを推定する「ニオイセンサ」の研究開発を行っている。このニオイセンサを実現するための要素技術として、ガス検知材料、測定法、データ解析法等、多分野にわたる総合的な研究開発を行い、さらに、このニオイセンサの社会実装に向けた取り組みの一環として会社を立ち上げた。また、ニオイセンサに加えて、ハイスループットな電気化学センサからの情報抽出にも取り組んでいる。
新規性・独創性
● ニオイセンサに求められる要素技術を網羅した包括的なアプローチ
● インフォマティクスを取り入れたセンシング技術の開発
● 起業による実産業界とのつながり
● ニオイセンサのシグナル解析技術を他のセンサに展開
内容
センサで得られるデータにインフォマティクスを適応し解析することで、測定対象のもつ様々な情報を抽出することができる。今村はこれまでに、膜型表面応力センサ(Membrane-type Surface stress Sensor, MSS)を用いたガスセンサ測定系をセンシングのプラットフォームとして、気体試料を対象としたニオイセンサの研究・開発を行ってきた。
ニオイセンサは、ガスセンサ測定により得られるデータを元に、その試料のニオイを識別したり、その試料の持つパラメータを推定したりする技術である。ニオイセンサは、ニオイのもととなる分子を検出する技術に加え、ニオイの情報を正しく反映した結果を得る測定法や、得られたセンサデータから目的の情報を抽出するための解析技術など、多様な要素技術を統合する必要がある。そのため、実用的なニオイセンサを実現するために、ニオイ分子を検知するための感応材料開発や、機械学習を含むインフォマティクスを活用したデータ解析法の開発、外乱の影響を排除するための測定法の開発など、総合的な取り組みを行ってきた。これにより、産業での応用性が高まったことから、2022年5月に、ニオイセンサのスタートアップである株式会社Qception(代表:今村岳)を設立し、ニオイセンサ技術の社会実装の促進を行っている。
また、このニオイセンサ技術で育んだセンサの時系列データ解析法を電気化学センサに適応し、ハイスループットな測定系で得られるデータからの情報抽出に取り組んでいる。
まとめ
● ガスセンサシグナルからの情報抽出(ニオイの推定、パラメータ抽出)を実証。
● 新規材料を用いた高感度ガス測定を実現。
● 設立したスタートアップを通じた、産業界のニーズに根ざしたさらなる開発を推進。
● 多様なセンサを活用したマルチモーダルなセンシング技術の開発を検討。