- Address
- 305-0044 茨城県つくば市並木1-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
ナノ材料・ナノバイオサイエンス 物性II 応用物性・結晶工学 無機材料・物性 構造・機能材料 熱電
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
所属学会
応用物理学会, 日本セラミックス協会, 日本熱電学会
受賞履歴
- 科学技術庁長官表彰 (2000), 物質研究所研究奨励賞 (2006), NIMS理事長賞研究奨励賞 (2008), 東北大学金属材料研究所付属金属ガラス総合研究センター共同利用研究課題最優秀賞 (2010) ()
ナノアーキテクトニクス材料研究センター
高性能な熱電材料・デバイスおよび熱制御技術の開発
熱電材料,熱制御,先端熱伝導率測定,磁性,固体物性,無機材料科学
概要
20世紀において人類はかつてないレベルまで電子、スピン、フォトンなどを制御できるようになったが、21世紀の最大の科学技術課題の一つに、フォノンの制御、すなわち熱エネルギーの高度な制御を如何に実現するかが挙げられる。先端的な新規熱電材料の開発、および、熱輸送の根源的な解明・評価・制御手法の開発などに取り組んでいる。また、無数のIoTセンサーなどの自立駆動やカーボンニュートラルの実現へ向けた種々の形態の熱電発電デバイスの開発や実装を進めている。熱管理技術の開発も推進。
新規性・独創性
● 長年のチャンピオン材料ビスマステルライド系材料を代替する待望の新規高性能熱電材料の開発に成功
● ペルチェ市場での置き換え、IoTやカーボンニュートラルに資する熱電発電の創出
● 産業プロセスに合致した熱電発電デバイス作製(バルク型、薄膜型、フレキシブル大面積シート型)も開発
● 熱電材料デバイスの各種事業化や事業拡大を導出する取り組みも推進
内容
これまでナノ構造制御や磁性や欠陥を活用した新規な高性能・超高性能原理の発掘と活用で、最近の熱電研究を先導してきた。顕著な進展として、界面制御および欠陥制御の新原理により、Mg-Sb系材料において電荷の輸送、すなわち電気伝導率、およびフォノンの輸送、すなわち格子が運ぶ熱伝導率を高度に制御することに成功して、熱伝導率の低い多結晶試料でありながら、単結晶並みの高易動度を実現し、熱電高性能化を達成した。熱電発電およびペルチェ冷却応用において、半世紀以上チャンピオンとして君臨したビスマステルルに初めて匹敵・凌駕する新規材料を開発した。第一号機の8ペアの現実的な資源豊富なMg-Sbモジュールの第一号機が、極めて希少なテルルを主成分とするBi2Te3系の熟成されたモジュールの世界最高性能の物に匹敵する性能を示した。材料性能から見積もった変換効率は約1.5倍の変換効率、320℃で1.8W/cm2の発電量であり、大きな伸びしろがある。
まとめ
● チャンピオンを凌駕する新規な高性能熱電材料の開発の成功による熱電発電の待望の広範囲実用化の実現やペルチェ冷却の応用拡大
● 無数のIoTデバイス・センサー用の自立電源やカーボンニュートラルに資する高効率熱電変換の実現
● ナノ構造制御や磁性や欠陥を活用した新規な高性能・超高性能原理の発掘と活用
今後達成すべく進めていること:
● 熱管理の総合設計
● 発電モジュールのデザイン
● 産業・大量生産に合致したプロセスによる発電モジュールの開発