SAMURAI - NIMS Researchers Database

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研究内容

Keywords

electron correlations, superconductors, magnets

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

口頭発表
    その他の文献

      所属学会

      日本物理学会, American Physical Society

      ナノアーキテクトニクス材料研究センター
      タイトル

      量子多体物性の理論的研究

      キーワード

      超伝導,磁性,電子ネマチック液晶,電子相関

      概要

      物質中にはアボガドロ数程の電子が含まれており、それらはクーロン力やスピン交換を介して相互作用をしています。その結果、電子系に集団励起が生じ得ます。物質が超伝導や磁性といった様々な特性を示すのは正にそのためです。したがって、これらの電子相関の理解が新たな物質概念の創出に不可欠です。特に、高温超伝導機構、超伝導と磁性の競合・協調、電子ネマチック液晶という新しい量子状態、臨界現象の理論研究を行っています。

      新規性・独創性

      世の中の優れた技術や優れた材料の多くは、すでにある程度理解された物性に基づいたものです。しかし、学問的観点から見た時、物質に対する我々の理解は非常に僅かです。この極僅かな理解ですら、現代社会を支える技術と材料を生み出す巨大な力がある訳です。我々の物質に対する理解をさらに深め、新しい物質概念や新しい知識を作り出すことによって、不連続的な技術発展や社会発展を導くことへ貢献することを目指しています。

      内容

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      高温超伝導機構の研究。銅酸化物や鉄系高温超伝導体に見られるように、高温超伝導は反強磁性相の近傍で出現することが多いです。そのため反強磁性揺らぎによって高温超伝導が引き起こされる可能性が注目されています。ところが、反強磁性揺らぎには超伝導不安定性を抑制しようとする効果が内在している、つまり高温超伝導を引き起こすには最適な機構ではないという驚くような理論的知見を得ました。上図は、波数(π,0)をもつ反強磁性揺らぎによって超伝導不安定性の傾向が生じるものの(大きな固有値)、一見重要ではないと思われるイントラ散乱の成分によって、超伝導不安定性が抑制されている(固有値が小さくなる)ことを示しています。

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      コンプトン散乱で観測する電子状態。高エネルギーX線が物質内の電子によって散乱され、エネルギーを失う現象がコンプトン散乱で、量子力学的に記述される電子の波動関数の情報を運動量空間全体で得ることが出来ます。これによって、フェルミ面の形状の全体像も明らかにすることが出来ます。銅酸化物高温超伝導体は、上図に示すように層状の結晶構造であり、各CuO2面内で二次元的な電子状態が実現していると信じられてきました。ところが、コンプトン散乱で直接その電子状態を観測してみると、電子ネマチック液晶状態になっており、フェルミ面が各CuO2面で擬一次元的になり、その方向が面間で直交している可能性が明らかになりました。

      まとめ

      未来の技術や未来の材料を作り出すアイデアや知識を創造することを目指しており、企業での研究とは対極に位置していると思われます。しかし、両者はセレンディピティで繋がる可能性があると期待しています。また、必要は発明の母であり、両者の協調的関係を築くことで持続可能な社会発展に貢献できると考えています。

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