SAMURAI - NIMS Researchers Database

HOME > プロフィール > 津﨑 兼彰

外部併任先

  • 京都大学ESISM 拠点教授
  • 九州大学 名誉教授

研究内容

出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。

口頭発表
    その他の文献

      所属学会

      日本鉄鋼協会, 日本金属学会, 日本機械学会, 日本熱処理技術協会

      構造材料研究センター
      タイトル

      不純物・有害元素を許容し活用する鉄鋼ものづくり技術

      キーワード

      構造金属材料,鉄鋼,相変態・析出・再結晶,ミクロ組織,脆性破壊,水素脆化,金属疲労

      概要

      カーボンニュートラルと資源枯渇問題の解決に向けた,超鉄鋼プロジェクトSTX21を源とした鉄鋼下工程技術における挑戦です.Niなどの希少な元素に頼らず,かつ製錬時のエネルギー負荷を下げ,破壊抵抗に優れた鉄鋼ものづくり技術の実現を目指します.鉄鋼の特徴は多様性にあります,その多様な力学特性はミクロ組織によって発現します.本研究では,ミクロ組織の制御によって,リンなどの不純物・有害元素を無害化・許容し,さらには活用する技術に挑戦しています.その結果,微細伸長粒組織と粒界偏析によって,リンが多いほど衝撃靭性値が上昇する技術を開発しました.今後は,この技術を,他の有害元素へ,また他の金属へと展開します.

      新規性・独創性

      従来は不純物また有害とされた元素を無害化・活用し,力学特性の向上に結び付ける
      結晶粒組織と集合組織(結晶方位分布)そして元素分布を巧みに制御し活用する
      これらのミクロ組織制御によって微小き裂が進展する方向を変化させる
      リンを0.093mass%含む1100MPa級鋼(SCM440ベース)の衝撃靭性値を11Jから214Jへと向上(論文1)
      水素7000 at.ppmのチャージによってFe-Cr-Niオーステナイト系合金の強度と伸びを共に向上(論文3)

      内容

      image

      超鉄鋼プロジェクト(1997年から9年間)で開発した「超微細粒鉄」のものづくり技術を展開して,「不純物許容鉄」さらには「不純物活用鉄」へと結び付けました(上の左図).リン(P)は,鉄鋼の代表的な有害元・不純物元素の一つで,粒界に偏析して粒界凝集エネルギーを低下させることによって,粒界破壊・脆性破壊を助長します.我々は,基地結晶粒が試験片長手方向に伸長した微細結晶粒組織とすることで,き裂進展方向を変化させて,衝撃靭性を向上させることを着想しました(論文1,2).上の真ん中の図は,SCM440鋼をベースとして,鋼中のP量をJIS規格の0.03mass%以下のものから最大0.093%まで変化させたモデル合金における室温でのシャルピー衝撃試験の結果です.通常の焼入れ焼き戻し処理を施した材料(QT)では,P量の増加にともない衝撃靭性値が低下しています.これに対して加工熱処理によって伸長微細粒組織とした材料(TF)では,逆にP量に伴い衝撃靭性値が増加し,0.093%Pを含むTF材では200Jを超える値を示しました(☆1).上の右図は,破断後の試験片形状を示すものですが,期待通りに,0.093%P-TF材では,竹を割るときのような層状破壊(Delamination)を生じていることがわかります(☆2).

      まとめ

      超鉄鋼プロジェクトSTX21を源とし,その後の関連プロジェクトで得た技術知識を総活用
      不純物元素Pを無害化・逆活用して高強度鋼の衝撃靭性値の飛躍的向上を達成
      カーボンニュートラル時代におけるスクラップを鉄源とした鉄鋼ものづくり技術へと展開

      この機能は所内限定です。
      この機能は所内限定です。

      ▲ページトップへ移動