- Address
- 305-0047 茨城県つくば市千現1-2-1 [アクセス]
研究内容
- Keywords
Metal oxide nanostructures, Sensor, Photo-voltaic, Nanocatalysts, Photo-strips
出版物2004年以降のNIMS所属における研究成果や出版物を表示しています。
所属学会
Royal Society of Chemistry
高分子・バイオ材料研究センター
タイトル
先進的階層秩序型ナノ構造体:触媒・バイオセンシング・水処理・エネルギー変換・貯蔵への展開
キーワード
階層秩序型金属/金属酸化物ナノ構造体(HOM), ナノアーキテクトニクス, 規則性メソポーラス材料, 階層多孔性, 表面・界面制御, 光触媒, 電極触媒, 電気化学バイオセンサー, 水浄化, 汚染物質分解, 酸素還元反応(ORR), 酸素発生反応(OER), 水素発生反応(HER), 燃料電池, リチウムイオン電池, スーパーキャパシタ, 持続可能エネルギー
概要
金属や金属酸化物でできた、ごく小さな構造を、規則正しく階層的に組み上げた材料をつくっています。構造を細かく制御することで、反応が起こる場所に物質が届きやすくなり、金属の働きを引き出しやすくなります。こうした材料を、環境・医療・エネルギー分野の課題に生かしたいと考えています。本研究では、環境の持続可能性、生体医療センシング、水処理、クリーンエネルギーといった地球規模の課題の解決に向けて、階層秩序型金属/金属酸化物ナノ構造体(HOM)の設計、合成、構造制御、機能応用に取り組んでいます。HOMは、結晶面、酸化還元活性中心、電子的性質を制御できる金属または金属酸化物の機能成分を備えています。形態、細孔構造、表面化学、活性点の分布を制御することで、物質へのアクセスのしやすさ、物質輸送、電荷移動、活性点の利用効率を高めた多機能材料の創製をめざしています。2020年から、環境修復、光学・電気化学センシング、資源回収、エネルギー貯蔵などに向けた階層ナノ材料の研究に取り組んでいます。また、階層的な細孔構造と高い比表面積をもつ多孔性非金属構造体(HON)についても研究しており、ガス吸着、光触媒、電荷輸送材料、化学センシングなどへの展開をめざしています。
新規性・独創性
本研究の中心は、階層秩序型金属/金属酸化物ナノ構造体(HOM)です。HOMは、金属または金属酸化物の成分によって、触媒、酸化還元、電子的な機能を担います。本研究の独創性は、形態や階層的な細孔構造を活性点と一体で設計することで、分子が活性点に届きやすく、金属・金属酸化物の機能を有効に引き出せるようにする点にあります。センシング、触媒、水処理、エネルギーデバイスを個別に最適化するのではなく、構造制御、効率的な輸送、活性点の有効利用という共通の設計原理を、そのすべてに適用します。さらに、材料の構造と、実験で測定した性能との間に、明確で再現性のある関係を確立することをめざしています。
内容




HOMナノ構造体は、階層的に秩序立って連結した細孔チャネルを持ち、大きな比表面積、調整可能な細孔径、機能性の表面サイト、制御可能な形態を兼ね備えています。こうした特徴は、環境、生体、エネルギー分野への応用を支えます。触媒としては、階層構造が反応物を活性点まで運ぶ役割を担い、金属酸化物成分は、酸化還元活性を持ち電子的に応答する表面を提供して、光触媒や電極触媒に役立ちます。バイオセンシングでは、生体に関わる物質を光学的・電気化学的に検出するために、HOMナノ構造体を開発しています。多孔性構造によって、検出対象の物質が認識部位に近づきやすくなり、金属または金属酸化物の表面が、その相互作用を測定可能な信号に変える役割を果たします。現在は、感度、選択性、検出限界、長期安定性について、検討を進めています。
【画像2・左】:水処理では、HOMナノ構造体が、汚染物質の捕捉と触媒による分解を、1つの構造で担います。階層的な細孔構造が、水中の有害な金属イオンや有毒な陰イオンなどに対して、近づきやすい吸着経路と機能性の部位を備え、金属酸化物成分は光触媒としての活性を担って、医薬品の残留物、抗生物質、染料、その他の有機汚染物質の分解に役立ちます。図のとおり、農薬、新興汚染物質、細菌も対象としています。反応が起こる表面の近くに汚染物質を濃縮することで、変換の効率を高められます。あわせて、触媒の回収、再利用、実際の水処理条件での安定性も評価しています。 【画像2・右】:エネルギー分野では、階層構造を持つHOM電極を、リチウムイオン電池とスーパーキャパシタに向けて検討しています。連結した細孔によって、電解液が入り込みやすくなり、イオンの移動距離が短くなるほか、充放電時の構造変化にも対応しやすくなることが期待されます。関連する研究として、燃料電池や水電解向けの電極触媒にも取り組んでおり、酸素還元反応、水素発生反応、酸素発生反応を対象に、活性点の利用効率と物質輸送の向上をめざしています。性能の評価では、容量、レート特性、サイクル安定性を重視しています。
まとめ
本研究は、階層秩序型金属/金属酸化物(HOM)ナノ構造体を、構造制御と、環境・生体医療・エネルギー分野の機能とをつなぐ、汎用的な材料設計の基盤として確立することをめざしています。中心となる科学的な考え方は、ナノ材料の性能が化学組成だけでなく、活性点へのアクセスのしやすさ、空間的な配置、電子的な相互作用、そして活性点の利用効率にも左右される、というものです。金属や金属酸化物のナノ構造について、形態、細孔構造、表面化学を制御するHOMのアプローチにより、表面へのアクセスのしやすさ、電荷輸送、触媒活性、構造安定性を最適化できるシステムを設計する可能性が開けます。今後は、光触媒による環境修復、光学・電気化学バイオセンサー、選択的な水処理、燃料電池の電極触媒、そして高性能なリチウムイオン電池とスーパーキャパシタに向けて、多機能なHOMナノ構造体の開発を進めます。さらに、階層的な構造(トポロジー)や活性点の利用状況と、触媒・センシング・電気化学の各プロセスで測定される効率とを結びつける、定量的な構造と機能の関係を確立することも目標としています。長期的なビジョンは、HOMの階層秩序型ナノ構造体を、合理的な構造設計から出発して、環境保全、ヘルスケア技術、クリーンエネルギーの変換・貯蔵に向けた、多機能で持続可能な、応用志向の材料へと発展させることです。
この機能は所内限定です。
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