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研究内容

Keywords

高分子合成化学、有機化学、ラジカル反応・重合 (Synthetic polymer chemistry, Organic chemistry, adical reactions and polymerization)

所属学会

高分子学会, 日本化学会, 有機合成化学協会

受賞履歴

  • 日本化学会 若い世代の特別講演証 (2017)
  • 京都大学 京大化研奨励賞 (2016)
  • 日本化学会 第95回春季年会 優秀講演賞(学術) (2015)
  • 高分子学会 高分子研究発表会(神戸) ヤングサイエンティスト講演賞 (2015)
高分子・バイオ材料研究センター
タイトル

分子化学プログラミングによる高分子の形状と機能の設計

キーワード

精密高分子合成,ラジカル重合,エラストマー,応答性高分子

概要

高分子材料の物性はモノマーや分子量、架橋など化学的な構造要因で根本的に変化する。さらに制御重合法や高分子反応法の発展により高分子鎖の鎖形状や配列、化学反応の組み込みが、新たな物性設計の軸として加わった。化学合成法を基盤とした精密な高分子の分子構造設計ー分子化学プログラミングーを駆使することにより、所望の物性や機能を持つ高分子の設計と合成、高分子合成の効率化、物性やその変化のメカニズムの解明、リサイクル性や分解など社会的課題へ対応する高分子材料に取り組んでいる。

新規性・独創性

重合反応メカニズムにもとづいた精密な高分子合成と合成の効率化
高分子鎖の構造とダイナミクスにもとづく粘弾性コントロール
同一の化学組成でも鎖の構造制御により100倍以上の粘弾性応答速度差
高分子の合成研究を加速させるための自動化研究手法

内容

image

制御重合法と選択的な高分子間反応を利用することで、動的共有結合(可逆的な結合生成)性の架橋点を有し、かつポリマー鎖中の架橋点の配置が精密にコントロールされたネットワーク高分子を合成した。動的結合に由来する架橋の可逆性によって3次元ネットワーク構造を保ったまま、加熱と冷却により再成形プロセスや材料リサイクルが可能な流動化と優れた力学特性を有する固体化を自由に変化させることができた。この状態変化の応答速度は高分子の鎖構造や架橋点の配置によって操作することが可能であり、同一の化学組成を持つ高分子から100倍以上の応答速度差を持つ材料を作り分けることもできた。これまでの高分子材料設計の軸であるモノマー化学構造、分子量、架橋といった要素に、鎖の精密構造や化学反応の組み込み、反応点の配置などが高分子材料物性をプログラムするための新しい軸として加えられる。化学合成と鎖構造制御による機能性高分子材料や、ポリマーの化学組成を変えずにより優れた物性を持つ材料を創成することなど、これまでの枠にとらわれない高分子材料開発が可能になると期待される。

まとめ

重合反応など化学合成反応を駆使する高分子の鎖構造設計の精密化が材料物性を大きく変える新たな要素であることを示した。化学反応や反応メカニズムに基づく分子構造設計と、化学組成とは独立している高分子鎖構造設計の両軸は、高機能や持続性など社会を支える高分子材料の開発における基盤技術となる。

この機能は所内限定です。
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