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マテリアル基盤研究センター
電子エネルギー損失分光の計測技術開発と応用
電子エネルギー損失分光(EELS),走査型透過電子顕微鏡法(STEM),格子振動,ギャップ内準位
概要
ナノメートル分解能での諸物性を高精度に計測する技術が求められている。赤外領域に現れる諸物性をナノメートル分解能で計測できる技術として、超高エネルギー分解能(~20meV)の電子エネルギー損失分光法(EELS)と走査型透過電子顕微鏡法(STEM)を組み合わせたSTEM–EELSの技術開発と計測応用を進めている。
新規性・独創性
● 超高エネルギー分解能(~20 meV)で赤外領域の計測が可能
● EELSで温度をナノメートル分解能で測る技術
● EELSでギャップ内準位をナノメートル分解能で測る技術
● EELSで有機材料(電子線に弱い材料)を測る技術
内容
STEM-EELSで超高エネルギー分解能(~20meV)、位置分解能(~1nm)、波数分解能(~3nm-1)を両立することで、赤外領域の物性をナノメートル分解能で計測できる。例えば、熱物性を決める格子振動(フォノン)に関して、(1)角度θ分解によるフォノン分散計測、(2)フォノンの強度や振動モードのマッピング、(3)界面に局在する振動モードの検出、(4)フォノン分光に基づく温度測定、などの技術を確立してきた。電子デバイス等の熱制御が重要な課題となってきているなかで、これらの成果は今後STEM-EELSがナノスケール熱解析ツールとして使える可能性を示すものである。超高エネルギー分解能は可視領域や紫外領域の計測においても有利であり、民間企業との共同研究を通してギャップ内準位のナノメートル分解能計測にも取り組んだ。一方では、電子線に弱くて計測が難しいとされてきた有機材料に対しても、低電子線量かつ低ノイズ・高感度検出での計測技術の確立を進めている。
まとめ
● 赤外領域、可視領域、紫外領域のナノメートル分解能での物性計測ができる。
● フォノン分光によるナノメートル分解能での温度測定ができる。
● 有機材料(電子線に弱い材料)への計測応用も進める。